<阪神5-4中日>◇27日◇京セラドーム大阪

 金本チルドレンの活躍で阪神が、中日との開幕カード勝ち越しを決めた。2番で起用される横田慎太郎外野手(20)が2回1死三塁、たたきつけた打球で左前にプロ初適時打。元ロッテ外野手の父真之さん(53)ら観戦する家族の前で、2試合連続マルチも決めた。金本監督が掲げる「超変革」のシンボルが、虎の推進力となっている。

 全身泥まみれのユニホームが、横田のがむしゃらさを物語っていた。2回1死三塁。2球で追い込まれた後の3球目。外角高め直球をたたきつけた。ワンバウンドし高く跳ね上がった打球は、前進守備のサードの頭上を越えた。プロ初打点となる適時打は、オープン戦から見せ続けてきた泥くさく、らしい一打だった。

 横田 高山さんが前で打ったので、自分もなんとしても打とうという気持ちしかなかったです。追い込まれたので三振せずに必死に食らいつくことだけを考えてやりました。

 連日のマルチ安打。背番号24のワンプレーごとに阪神ファンが大きく沸く。ストライクゾーンに来ればとにかくフルスイング。2回の適時打後には盗塁も試みた。失敗したが、無我夢中の全力プレーに指揮官も目を細める。

 金本監督 まだまだひたすら一直線。まっしぐらのスタイル。今はあれでうまくいっている。あれが彼らしい。

 この日は地元・鹿児島から父真之さん、母まなみさん(53)、姉真子さん(21)の家族全員が応援に駆けつけていた。真之さんは、かつてロッテの外野手として活躍。ベストナインを2度獲得したこともある名選手だ。グラウンドで躍動する息子に「親子ベストナイン? いいですね。いつかそのくらいの活躍をしてくれれば。でも、今はとにかくがむしゃらにやって欲しいですね」とエールを送った。前日26日にはプロ初安打のボールを紛失。この日の試合前に、鳥谷とともにボールケースの中を再捜索したが見つからず、「これでいいです」と適当な1球をポケットにしまった。特別なこだわりはない。これから数々の安打を積み上げるつもりだからだ。

 新外国人ヘイグの決勝打に高山も2安打。4番に座る福留も豪快な本塁打を放った。開幕黒星から2連勝のカード勝ち越しは、リーグ優勝を果たした03、05年と同じ星取という吉兆。好調な新生猛虎打線。その中核に、間違いなく横田の名も刻まれている

 ◆横田慎太郎(よこた・しんたろう)1995年(平7)6月9日、鹿児島県生まれ。鹿児島実から、13年ドラフト2位で阪神入団。高校通算29本塁打。垂直跳びは、球界でも屈指の80センチ。走攻守そろった逸材。過去2年は1軍出場なし。推定年俸720万円。186センチ、92キロ。左投げ左打ち。

 ◆横田真之(よこた・まさし)1962年(昭37)11月26日、高知県生まれ。明徳(現・明徳義塾)-駒大を経て、84年ドラフト4位でロッテ入り。1年目から外野の定位置を獲得し、85年(3割)、翌86年(3割4厘)と新人年から2年連続3割以上。これは長嶋茂雄(巨人)に続きプロ野球史上2人目の快挙だった。この2年間ベストナインを獲得。87年にはパ5位の26盗塁。中日、西武でもプレーし95年引退。現役時代は173センチ、78キロ。右投げ左打ち。

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