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先日、元虎戦士から久々に電話をもらった。聞けば、転職したという。

「実は今、YouTubeチャンネル作ってます」

田上健一さんはいつの間にか動画クリエーターに転身していた。

10年シーズンから6年間、阪神に在籍。育成ドラフト2位入団ながら、50メートル5秒7の俊足と広い守備範囲を武器にはい上がり、1軍で計123試合に出場した。

15年オフに現役を引退し、16年からの2年間はオリックスでスコアラーを務めた。18年からはスポーツ界のデータ解析で知られる「データスタジアム」のベースボール事業部に所属。20年1月末で退職し、2月からYouTube制作をスタートさせたそうだ。

とはいえ、なぜにクリエーター? いわゆる演者のYouTuberに転身する元プロ野球選手は珍しくなくなってきたが、プロデューサー業務も担うケースはあまり聞いたことがない。

「もっと違ったツールで野球界に貢献していけたら、という気持ちが強くなったんですよね」

田上さんは張りのある声で転職理由を説明してくれた。

2月からYouTubeなどの映像制作を手掛ける「ケイコンテンツ」に入社。現在は同社がプロデュースするYouTube野球チャンネル「クニヨシTV」をメインに、同チャンネル「トクサンTV」にも関わっているという。

「トクサンTV」はチャンネル登録者54・7万人。「クニヨシTV」も登録者は20万人超え。どちらもトップクラスの人気を誇る野球チャンネルだ。

「どちらのチャンネルも小学生、中学生、高校生の球児がよく見てくれていて、やりがいを感じています」

田上さんの声色から充実感が漂う。

企画、演出、出演、編集。基本的にすべてを1人でこなす。あえて肩書をつければ、YouTuber兼プロデューサー兼ディレクターといったところか。

毎週、まずは企画会議で提案。週に2本の動画をアップする。ゲストを招く場合の出演交渉も仕事のうち。グラウンド確保、撮影許諾交渉と業務は多岐にわたる。自ら動画に出演した後もテロップの作成にBGMの選択にと忙しい。

「ケイコンテンツ」の社長、平山勝雄さんは読売テレビ時代に演出、プロデューサー業で活躍し、「秘密のケンミンSHOW」「ダウンタウンDX」も手掛けた映像制作のプロ中のプロ。「最初に何から何まで教えていただいて」今があるという。

田上さんは現役引退後、通信制の星槎大学に入学。共生科学部でスポーツ身体表現を専攻し、勉学に励んできた。

現在はYouTubeクリエーター業にいそしみながら、同時に5月1日から開設したオンラインサロン「天晴(あっぱれ)ベースボール大学」で講師役なども務めている。

そこまでして野球に関わり続ける理由とは。そう問いかけると、即座に明確な答えが返ってきた。

「1番は、野球を広めたいという気持ちですね。世界的に見ると、野球はまだまだマイナースポーツ。その上、日本でも野球人口が減っていると聞く。やっぱり、体罰だったりマイナスイメージが強くなってしまっているのが原因だと思うんです。だから、まずはもう1度、多くの人に野球を好きになってもらいたいと思っているんです」

元虎戦士は新たな挑戦に燃えている。【プロ野球遊軍=佐井陽介】




本日のスポニチに載りました! ぜひご覧くださいませ。 元阪神・田上氏が球界のアップデートに奮闘“大学”開設― スポニチ Sponichi Annex 野球  https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2020/05/15/kiji/20200514s00001173358000c.html 



@tagami_61 @dora0329 タイガースの守備走塁コーチをお願いします。





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