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 阪神一筋16年の能見篤史投手(41)が事実上の“戦力外通告”を受け、縦縞のユニホームを脱いだ。

 大阪ガスから2005年にドラフト自由枠で入団。一軍定着は09年、30歳になってからと遅咲きだった。この年に13勝を挙げて以降、先発の柱となり、開幕投手も3度務めた。

「14年から3年連続でリーグ最多となる2ケタ敗戦を記録しましたが、防御率は3点台をキープ。打線の援護に恵まれない“不運”なエースでした」(番記者)

 18年に中継ぎに転向したが、矢野燿大監督体制となった19年からはブルペン内の序列が下がっていく。

「昨オフ、1500万円減の推定9500万円で契約更改した際に、自ら『便利屋でいい』と宣言。すると今季は敗戦処理ばかりさせられ、後輩たちは『まだ投げられるのに気の毒だ……』と同情していた」(同前)

 厳しい立場に追いやられたのは8月14日のこと。

「先発で結果が出ない左腕の岩貞祐太を矢野監督は中継ぎに配置転換。それは同じ立ち位置の能見を見限ったことを意味していた。さらに不調で二軍落ちする9月半ばまで“さらし者”のような形で一軍に帯同させるなど、半ば無言の圧力で現役引退を悟らせようとしていました」(球団OB)

 そうした冷遇にも腐ることなく淡々と練習し、自分の役割をこなし続けた。

「後輩が気遣って話しかけても『俺は頑張るだけだよ』と笑って返していた。むしろ自主トレを一緒にしていた『チーム能見』の岩貞、梅野隆太郎、大山悠輔らの調子をずっと気にかけていたのも彼らしい」(同前)

移籍先の有力候補は?
 この球界最年長左腕を他球団も戦力として注視する。

「長身左腕は貴重だし、制球力も抜群なので短いイニングならまだいける。移籍先として有力なのはオリックスで、調査も始めたようです」(パ・リーグ球団幹部)

 今季リーグ最下位のオリックスは中継ぎ陣が弱く、年長者のまとめ役もいない。

「プロの厳しさを若手に伝えるのに打ってつけの人材。梅野を構え方から教えて一人前にしたように、捕手の育成も期待できる」(同前)

 阪神での最終登板となった11月11日のDeNA戦では最速149キロの直球で打者を翻弄。9回を締めて自身2個目のセーブを挙げた。試合後には予定になかった甲子園の場内一周でファンの声援に応えた。

「能見さんの人柄ゆえ、球団も許可した精一杯の送り出しでした。『チーム能見』の3人は号泣していましたね」(球団関係者)

 最終戦の記念球は「僕の意志とともに」と岩貞にプレゼントした能見。「まだまだもう少し、納得いくところまでやりたい」と涙は流さず、甲子園を去った。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年11月26日号




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