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【球界ここだけの話(1552)】

 阪神が2月27日、春季キャンプを打ち上げた。矢野燿大監督(50)が就任して初の球春に、沖縄・宜野座には連日、多くの虎党が足を運んだ。

 球場に駆けつけたファンなら、一度は目にしたことがあると思う。球場アルバイトの當真圭介さん(22)も、選手と同じく充実のキャンプを過ごした。ふくよかな体に持ち前のキャラクターで、何度も選手を笑顔にしてくれた。

 「選手のみなさんはシーズンに合わせるためのキャンプだと思うんですけど、僕はきっちりとキャンプに合わせてきました」

 年明けから夜に炭水化物を摂取することを避け、6キロの減量に成功。104キロで、2年連続2度目の“キャンプイン”した。「夢にお米や麺類が何度も出てきました…」と減量の日々を振り返る。ときには福留、糸井らに声をかけられ、一緒に外野を駆け回った。福留からは「あと4キロ痩せてこい!」と指摘をもらっていたが…。

 「打撃練習で捕手をしていても打席に入るときには僕たちにも必ず『お願いします!』といわれています。本当に礼儀正しくて、夢のようです」

 宜野座を愛し、宜野座に愛された男だ。出身は、球場に隣接している宜野座高。野球部に所属し、捕手と主将も務めていたという。現在は大学4年生で、国家試験を受けた社会福祉専門職の合否の結果待ち。「合格していればですけど…」と不安をのぞかせたが「僕を頼ってくれる人を、笑顔にしたいです」。その胸には希望がいっぱいに詰まっている。

 「3月に卒業なので、アルバイトできるのはこれが最後なんです。さみしい気持ちもあるんですけど、近くで接していた分、頑張ってほしい。自分も休みの日に来ることができると思うので、大人として成長して帰ってきたいです」

 毎日、汗びっしょりになった黄色いビブスは、一生の思い出。虎戦士も虎党も笑顔にしてみせた當真さんなら、きっとすてきな未来を切り開くことができる。(竹村岳)

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