◇セ・リーグ 阪神2-6広島(2016年4月9日 甲子園)

 『超変革』した姿は単発ではなかった。2度目の先発に挑んだ阪神の岩貞は7回2/3を2失点で役割を果たした。2試合連続の12奪三振。好投を続けたことで先発ローテーション定着へ向けて確かな自信をつかんだ。

 「自分の思った通りに投げられた。試合を作ることができて良かった。(梅野が)後ろにそらさないんで、信頼して思い切って腕を振れた」

 今季割合を増やしたチェンジアップ、得意のスライダーに広島打線のバットは序盤から空を切り続けた。3回までに5三振。4、5回のアウト6個をすべて三振で片付けた。「足が速い打者が多いので、バットに当てられて内野安打より、三振を取っていこう」と68年に江夏豊氏のマークした球団&セ・リーグ記録の1試合16奪三振に迫るペースを中盤まで刻んだ。

 百戦錬磨の黒田との投げ合いにも気後れしなかった。矢野作戦兼バッテリーコーチから「こんなすごい相手と投げ合えるのはありがたいことや」と背中を押され「投げ合えることに感謝して先に失点しないように」と挑戦者としてぶつかった。

 完封も見えてきた8回1死から田中、菊池に連打を浴び、丸の内野ゴロの間に1点を失ったところで降板。2番手・福原がルナに同点打を許し、金本監督も「あんなピッチングをして、勝ちを付けてやれなかったのは…」と悔しがった。

 今季から登板しない先発投手もベンチ入りすることになり、5、6日の巨人戦を2試合連続でベンチから見守ると、新たな発見があった。

 「マウンドで投げてる時は聞こえなかったんですけど、野手の方があれだけ投手を励ます言葉を試合中に投げかけてくれていたのは、びっくりしましたね。それに気づけて本当に良かった」。

 2勝目は消えても、先発6番手を担う3年目左腕が披露した2試合連続のパフォーマンスは大きな収穫だった。制球難で自滅する昨年までの姿はもうない。背番号17の『超変革』は本物だ。(遠藤 礼)

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