ミキハウス特別賞「勝負強かったで賞」を受賞した阪神・原口文仁捕手(26)が21日、正捕手奪取を目指す来季へ“福留流かけ引き術”の習得を進めていることを明かした。

シーズン代打安打「23」で球団記録に並んだが、出番を待つベンチで福留の打席を凝視して得るものがあったという。「これは絶対、今後の僕の野球人生に生きていく」と力強く言い切った。 あんなにも1打席に懸けていた男が、1打席に懸けない術を学ぶ!?

最高のお手本はすぐ“お隣”にいた。驚異の代打成功率で特別賞「勝負強かったで賞」に輝いた原口は、壇上に並び立った福留の打席に目を光らせていたことを明かした。


「ベンチから見る時間がすごく多くて。『なんで孝介さん、糸井さんはストレートに強いのか』とか、そういうのをずっと考えながら見ていたんです。やっぱり、捕手とも投手とも駆け引きをしているし“カウントを自分で作っていく”というのはすごく感じた。これは絶対、今後の僕の野球人生に生きていく、と感じた1年でした」


主戦場は試合終盤。だがベンチで過ごした序盤も、1分1秒も無駄にしなかった。最高の教材でもある先輩らに目をこらし、ヒントを得た。「はっきり打ちに行くときと、我慢してストライクでも待ったり、追い込まれても、大事な場面ではしっかり狙い球を絞って打ちにいっていた」と見立てた。この“発見”を、当事者の福留が壇上で、真横で解説した。

「ここはボールからくるなとか、とりあえずここは仕方がないなとか。僕はゲームに最初から出ていて、4打席ある。1試合4打席をどうやって作るか。だから、1打席目に三振しても、その三振の仕方、アウトのなり方とか、そういうところで2打席目にカウントを作るとか」

スタメンを張り続けてきた一流打者の思考が、夢中で1打席に懸けてきた原口の「打」を、さらに強くする。代打で放った23安打は「神様」と呼ばれた桧山進次郎氏に並んで球団記録。代打打率・404。得点圏打率・455。代打での得点圏打率は・700。だが、先発出場した試合では打率・143。壁を突き破るカギは、数多くある福留の引き出しの中に、間違いなくある。

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https://www.sanspo.com/baseball/news/20181122/tig18112205030006-n1.html



捕手に再転向したシーズン。捕手としての先発出場が9試合に終わっただけに、喜べる1年ではなかった。正捕手を争う梅野は今季ゴールデングラブ賞を獲得。だが原口の打撃は、福留も「これと決めたものをしっかりと、一発でスイングしていってる。それはたいしたもんだなと、思って見ていた」と一目置くほどだ。 原口も改めて「目標にしているところはスタメンで出ること」と誓う。勝負強さに駆け引きまで身につけて、完全なる「打てる捕手」となる。