<広島7-6阪神>◇28日◇マツダスタジアム
阪神糸井嘉男外野手(40)がマルチ安打で好調をキープしている。1-5の4回無死一塁で代打で登場。
カウント2-1から広島野村の高めの変化球に右肘をたたみ、コンパクトなスイングで右翼線へ落とした。楽々と二塁へ到達し、二、三塁とチャンスを拡大。この回の2点につなげた。「もう必死で…」。打席の後はそのまま右翼に入った。守備に就くのは6月12日楽天戦(楽天生命パーク)以来で、グラブでもチームに貢献した。
6回無死ではケムナに3球で追い込まれたが、5度のファウルで粘った。10球目の117キロのカーブに体勢を崩されながらも、なんとかバットを残して中前に落とした。矢野監督は「いいかたちで嘉男(糸井)が打ってくれたからこういう試合になったし、まだまだ元気な姿をみせてくれている」とベテランの技が詰まった2安打に目を細めた。
日没後も暑さが残るマツダスタジアム。その中で40歳の糸井が結果を残している。8月は島田や木浪ら若手と一緒になってたびたび早出特打に取り組んでコンディションを保った。甲子園では原口のロングティー打撃の打球を追うなど守りの準備も怠っていない。若手のエネルギッシュな取り組みを自らの肥やしにして、「超人」はチームに還元しようとしている。
「負けてほんまに悔しい。与えられたところで全力でやるしかないし。次は絶対勝って甲子園戻りましょう」
最下位相手の連敗。悔しさのあまり言葉は思うように出てこない。なんとか紡いだフレーズにリベンジの思いを詰め込んだ。【前山慎治】