＜阪神1－0巨人＞◇12日◇甲子園

　阪神が優勝マジックを3に減らし、14日にも岡田彰布監督（65）が甲子園で18年ぶりに宙を舞う。巨人3連戦の初戦は、2回に木浪の犠飛で挙げた虎の子の1点を先発西勇輝が守り、散発2安打で1－0完封。貯金34は通算6年の岡田政権最多、年間3度の9連勝は球団初と勢いが止まらない。阪神過去5度の最速リーグ優勝は大フィーバーを起こした03年の9月15日。伝説の星野監督超えで、歓喜を迎えようとしている。

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　わずか2時間6分で巨人を倒した。1－0でも全く危なげなし。岡田監督はもう左うちわだった。

　「今日は西勇に尽きる。今日は（オレは）何もしてないやん。2回からサインも。（3回から）ランナーも出してないんやから。ただ西9回まで完封やなあって。それが采配や。そういうことや」

　2位広島もヤクルトに敗れ優勝マジックは2つ減って3。14日のまま変わらない最短Vがいよいよ明日に迫ってきた。05年と同じ甲子園、ライバル巨人の前での岡田監督の胴上げがぐっと現実味を帯びてきた。9・14なら03年星野阪神の9・15より1日早い球団最速V。指揮官は「相手もあることなんで。ひとつずつでも減らしていけるように。14日とか、そうじゃなしに」と色めく報道陣を制すように言った。

　積み上げた貯金34は岡田政権6年目の最多で、球団では03年以来20年ぶり。今季3度目の9連勝は球団初だ。

　進撃に岡田監督の人心掌握は不可欠だった。ヒーロー西勇は前半戦は期待に応えられず5勝5敗、防御率4・83で7月5日に登録抹消。岡田監督は約1カ月半2軍で再調整させた。復帰戦を前に「（結果次第で次は）ない、ない、ない。そら、ないよ」と実績十分のベテラン右腕にもその時点では厳しい立場になっていることを隠すことはなかった。

　プライドを刺激され、谷底からはい上がってきた西勇は復帰後4試合で2勝負けなし、防御率1・26。勝ち星も7勝まで増えた。指揮官は「明日（13日）も一番心配なピッチャー（青柳）やけどなあ。奮起はするやろ。ずっと先発に勝ち星がついて、変なピッチングはできんというのを本人が一番感じて投げるやろうな」と、もうひとり前半戦不調で苦しんだ開幕投手青柳もつづくようにも期待を込めた。青柳も2軍から復帰した7月以降は4連勝の5勝1敗と安定。村上、大竹の新戦力台頭の裏で苦しんでいた先発の柱2人を、2軍で鍛え直し、きっちりと戦力として復活させた。決して勢い任せではなく、長いシーズンを見て手を打ってきた戦ってきたからの独走状態だ。【石橋隆雄】

　▼阪神がクライマックスシリーズ（CS）進出を決めた。12球団最速は、07年にセ・リーグもCSを採用して以降初めて。21年は10月6日にセ・リーグ最速で出場を決めたが、ヤクルトと同日だった。

　▼阪神は巨人戦の対戦成績を15勝5敗1分けとし、現時点での貯金を10に伸ばした。同カードの勝利数、貯金とも最多は79年で、17勝（9敗）貯金8。今季は更新の期待がかかる。

　▼阪神の年間6度の1－0勝利は、12年の6度以来11年ぶり。1－0完封勝利投手は、16年5月27日巨人戦の岩貞祐太以来。国内移籍投手では、下柳剛（前日本ハム）の09年5月12日広島戦以来。巨人戦に限ると、伊藤幸男（前近鉄）が71年7月30日に達成して以来、52年ぶり。

　▼木浪の犠飛が決勝打となった。阪神の今季の犠飛43は両リーグ最多。球団のシーズン最多は08年の46犠飛で、あと3と迫った。

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