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<背水矢野虎 来季Vへの具体的方法論>(3)

来季4年目を迎える矢野阪神が、17年ぶりのリーグ制覇に必要なものは何か? 日刊スポーツ評論家陣が提言する「背水矢野虎 来季Vへの具体的方法論」。第3回は近鉄で4度の盗塁王、二塁で3度のダイヤモンドグラブ賞に輝き、オリックス監督も務めた大石大二郎氏(63)。近本&中野の1、2番コンビの盗塁増と、4年連続両リーグ最多失策改善への取り組みを提言した。【取材・構成=松井清員】

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近本と中野は成功率を下げてでも、もっと盗塁を仕掛けてほしいですね。今年の戦いを見ていて、なかなかスタートを切らない、切れない試合が目につきました。盗塁王の中野が30個、近本が24個で、リーグのワンツーフィニッシュを決めるほどの走力がある。でもクイックが速くない投手でも、一塁くぎ付けで終わったり、もったいない印象を受けました。盗塁成功率は、中野が企図32回で9割3分8厘、近本が企図31回で7割7分4厘。どちらもものすごく高い数字です。でも成功率は7割で十分とされますし、もっと企図数を増やして相手にプレッシャーをかけたいところです。

チームに30発を打てる大砲がいない中で、ホームランよりヒットの方が得点を挙げる確率は高い。当然二塁に行った方がヒット1本でかえってこれます。私も現役時代は走者一塁で併殺打が一番嫌でしたが、打者的にも二塁に進んでくれた方が心理的な重圧が違います。それも走るなら1、2球目で、早く打者に打撃に集中させたい。二盗だけでなく、三盗も仕掛けたい。三盗は投手のクセさえ盗めば簡単で、さらに重圧をかけられる大きな攻撃です。

成功率を下げてでも企図数を増やす。これは私がプロ2、3年目のころ、近鉄で三塁コーチだった仰木彬さんにアドバイスされたことです。成功率が下がっていいから、もっと思い切ってスタートを切ったらどうだと。当時の私は塁に出た時、大事にいかないといけないと、盗塁に慎重になっていました。でも思い切って走ってみると、成功率はあまり変わりませんでした。おかげで3年目に60盗塁、4年目に46盗塁でタイトルを取れました。近本、中野の実力からして今年の盗塁数は少ないし、もっともっと増やせる。恐らく来季も1、2番を任されるでしょうし、思い切ったチャレンジが、課題の得点力アップにつながると思います。

課題の失策を減らすには、守備の基本に立ち返ることが重要だと思います。プロ野球が全体的に片手取りや半身でのキャッチが多くなっていますが、その分リスクが高くなります。阪神も片手や半身で取りにいって、はじくエラーが結構あったと思います。言葉を変えると足が動いていない。改善策として両手で取ること、正面に入って取ることを徹底してはどうでしょう。

みかんをとっさに投げたら、多くの人が両手で取ると思います。本能的にそちらの方が安全と分かっているからです。ゴロも両手だとグラブの土手に当たったり、はしに当てたり、つかみ損ねても、もう一方の手でフォローできます。また、ゴロの正面に入ることで前に落とせる確率が高くなり、拾ってすぐ投げられます。土のグラウンドはただでさえバウンドが変わりやすいので、両手&正面で確実性を増したいところです。

当然、正面に入るには、もっと横に距離を出して動かないといけません。打球への対応もより1歩目のスピードが求められます。でもこれを習慣づけることで足腰が鍛えられ、これまで捕れなかった打球も捕れるようになって守備範囲が広がります。上達できるかどうかは、ただノックの本数を受けるのではなく、しっかり目的意識を持って取り組むかにかかっています。




【大石大二郎】阪神近本&中野はもっと盗塁を 失策改善へ両手&正面徹底も  https://www.nikkansports.com/baseball/news/202111190000532.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp  盗塁王取っても年俸爆上がりする事無いし後半戦は疲れも出て来て脚に相当な負荷がかかるから近本はそもそも盗塁よりも安打数に拘ってたもんな、もっと走れと言うならフルイニング出場は止めるべき


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