1



(セ・リーグ、阪神3-2中日、5回戦、中日3勝2敗、28日、甲子園)球審よりも〝よく見えそうな位置〟に、次打者(正確には、次打者の準備をしていた)原口がいた。球審より低い姿勢で、そして球審より早く、両手を広げた。

セーフ!

四回1死二、三塁。坂本の遊ゴロが野選を呼んで逆転。中日がリクエスト要求したほどの微妙な判定だったが、球審のジャッジも、原口のジャッジも正確だった。

ファーストストライクを徹底して振り、好機を迎えると、今度は一転、バント攻撃。タイガースはこんな攻撃ができるんだ。流れるような攻撃シーンを、記者席で感心して眺めていた。同時に、絵になる「原口のセーフ!」写真を紙面で使えるなぁと勝手に思った。

なんと言っても、マウンドにいたのが、難敵の中の難敵、難攻不落といってもいい中日のエース大野雄大だったから、この逆転劇は倍うれしい。

大野雄が阪神戦で登板するたびに、いつも思うのだ。あの年、阪神がドラフト1位指名していたら、どうなっていたんだろうか、と。

2010年10月28日。この私も仏教大キャンパスで、大野の取材をしていた。目の前の金の卵が熱狂的な阪神ファンだということはすでに知れ渡っていた。

12球団が1巡目を入札。その時点で、大野雄を指名したのは中日のみだった。選択確定。仏教大が生んだ屈指のサウスポーの運命は決まった。競合による他球団の抽選は続いていたが、「中日・大野」は即座に会見。さらに、囲み取材。プロへの抱負を口にしていた大野が、突然、報道陣に逆質問した。

「阪神は誰を指名したんですか?」

本当にタイガースを愛しているんだなぁとほほえましくなった。

ちなみに、虎の1位は榎田大樹(東京ガス)。阪神、西武でも活躍し、ことし1月、引退した。参考までに2位・一二三慎太(東海大相模)、3位・中谷将大(福岡工大城東、現ソフトバンク)…。この年、育成枠を含めて8人が入団。現在もタテジマに袖を通しているのは育成2位・島本浩也(福知山成美)ただ1人。時の流れを感じる。

大野雄のカッコ良さは、竜戦士となって、大好きな虎に思いっきり牙を剥いていること。この日の1敗を含めても、12年間で15勝9敗と大きく勝ち越している。

記者席にはサンスポの新入社員コンビの姿も。運動部の研修名目で観戦していた。この2人、阪神選手が打つたびに拍手、また拍手。とんでもない虎党だ。ここ数年、入社してきたヤツらより1ランク上の熱狂度。

意地悪な質問をしたくなった。もし将来、運動部に配属されて、阪神以外のチームの担当記者になったら? と。

1人でも甲子園に応援に来ていたという丸橋正宣は「阪神が一番いいですし、巨人だったら一瞬、エッと思いますが、どこでも頑張ります」。沖縄、安芸のキャンプ地まではせ参じる筋金入りの佐藤亜未も「プロ野球に携われるのなら、どこでも」。愛するチームが敵となっても-。2人とも、大野雄と一緒だった。〝大野級〟の立派な新入社員が来てくれたようだ。

七回表に代打を送られることなく完投した大野雄。竜の背番号「22」は、もはや全国公認の大エースだ。エッ、タテジマの「22」も似合う⁈ それは、まだ言わないことに。




#糸井嘉男 が好走塁🏃‍♂️🏃‍♂️ \ リプレー検証も判定変わらず タイガース逆転成功!! ⚾#プロ野球(2022/4/28) 🆚阪神×中日 📱Live on #DAZN #阪神タイガース #hanshin #NPB https://t.co/uJI2ZzD8NA



大きな“セーフ!”のポーズ、最高でしたね! 【虎のソナタ】やっぱり絵になる男「原口文仁」 糸井生還、誰よりも早く「セーフ」(1/2ページ) - サンスポ  https://www.sanspo.com/article/20220429-262IS3KJABLJPMWO3WDXX6HXPI/  @SANSPOCOMより



審判よりも先にセーフ判定する原口文仁 pic.twitter.com/Mw98j6HGf9


続きを読む