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<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>

カメラマンから届いた1枚の写真に目が止まった。引き締まった表情に変化はない。とびきり破顔した訳でもないし、なんなら目線は下にある。それでも控えめに右拳を握った姿に、グッと来た。阪神藤浪晋太郎の仲間を思う感情がヒシヒシと伝わってきたからだ。

虎の背番号19は3月26日、プロ9年目で初めて開幕投手を任された。結果は5回で103球を要して5安打5四球で2失点。なんとか粘って試合を作り、チームの勝利につなげた形だ。

安定感が増していた今春にしては珍しく大きな抜け球もあった。決して満足のいく投球内容ではなかっただろうが、印象に残ったのはマウンド上での堂々たる振る舞いだ。

写真が撮影されたのは1点リードの4回裏、1死一、三塁を無失点で切り抜けた直後のシーン。同学年でもある木浪聖也の遊ゴロ送球ミスから招いたピンチだっただけに、是が非でもホームを踏ませたくなかったのだろう。

「誰もエラーしようと思ってエラーしていない。味方がエラーをした時、ミスが出た時に抑えてこそだと思っています」

以前、藤浪が力説していた「投手としての自負」をふと思い出した。

開幕戦、右腕は制球を乱しても味方が失策しても、勝負師らしいキリリと引き締まった表情を最後まで貫いた。事あるごとに声を張り上げ、仲間とコミュニケーションを取っていた。

1失点して同点とされた直後、2回2死一、三塁から9番投手小川泰弘に四球を出した後も顔色は変わらない。3回無死一塁から同い年の主将大山悠輔が三ゴロをファンブルした直後には、すれ違いざまに自ら「大丈夫、次頼む」とばかりに声をかけた。

5回、3番山田哲人への直球が頭部付近に大きく抜けて球場全体がザワついても、少なくとも表情を見る限りは動じることはなかった。痛恨の暴投で同点とされた際にはさすがに一瞬だけ顔をゆがめたけれど、すぐに切り替わって内野陣と声をかけ合っていた。

試合後、矢野燿大監督は26歳右腕のマウンドさばきをこう表現したという。

「途中、あいつが自分から声をかけるというのも、すごく頼もしく見えた」

ナインも同じ感情を持ったのではないだろうか。

この日は白星こそ手にすることはできなかったが、首脳陣、仲間からの信頼を深められたのであれば、初めて踏んだ開幕戦マウンドの意味は大きくなる。

泰然自若。藤浪の立ち振る舞いに自信と覚悟を感じたのは、決して記者だけではないはずだ。【遊軍=佐井陽介】




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阪神藤浪が小さく右拳を握る写真にグッときた理由(日刊スポーツ) #Yahooニュース  https://news.yahoo.co.jp/articles/d678ee46d92505d0a0bbd30e2a2ce8da342183bd  ええ写真


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