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 同じ轍(てつ)は踏まない――。2年目を迎える阪神タイガースの佐藤輝明は、固く決意している。

 昨季は球団新人最多を塗り替える24本塁打を放った一方で、終盤にはリーグワーストの59打席連続無安打を記録。173三振はセ・リーグの規定打席到達者で最多だった。

 「打てないところをどんどん攻めてくる。その対応に苦しんだ」。研究された後半戦は顕著だった。内角を執拗(しつよう)に攻められ、フォームが崩れていった。

 「打てなかった要因は色々あるけど、元の原因は内角。そこを克服すれば他も良くなる」とフォームから見直している。「考えながらやっていきたい」と具体的な内容は明言を避けたが、秋季練習で藤井康雄コーチから重心の位置によって体の使い方が変わることを教わるなど、試行錯誤を続ける。

 魅力はやはり、豪快な一発だ。「本塁打は打つだけで点が入る。野球の一番面白いところ」と話す。狙うタイトルももちろん、本塁打王。そのために、打撃技術以外に選球眼の必要性も感じている。

 「四球を取れるところで取る。それで打率も上がるし(投手が)打てるところに投げることも増える。全てが絡み合って、活躍ができている」。本塁打王となったヤクルトの村上宗隆(21)らを見て感じたという。

 その村上も新人王を獲得した2019年は、日本人歴代最多の184三振(36本塁打)。20年は打率3割台と安定感が増し、昨季は不動の4番として日本一に貢献した。

 「1年間通して活躍できる技術と体力を身につける」。同世代のライバルに負けじと、成績でも大きな放物線を描く。(大坂尚子)




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