現在5試合に登板し、チームトップの4勝を挙げるのが、阪神タイガース・青柳晃洋投手。
去年は、25試合で9勝だった右腕が、なぜここまでハイペースに勝ち星を重ねることができるのか…。今年球界屈指のサイドスローへと劇的な変貌を遂げたプロ5年目の秘密に迫ります。
大学を卒業しドラフト5位で入団した青柳投手。代名詞はサイドスローですが、憧れの選手は少し違うようで…。
青柳投手:
「西武の松坂さんみたいに上からすごいボールを投げたいなって気持ちはありました。でも、上投げだったらプロにはなれなかったなっていうのもあったので、それはよかったと思いますね」
小学校6年生の時から、憧れの投球フォームを諦め、サイドスローに専念したからこそ入れたプロの世界。去年先発ローテーションに定着し9勝を挙げるも、ある明確な改善点が浮き彫りに。
左右打者別の対戦成績を見ると、右バッターを1割台に抑えてるのに対し、左バッターには3割以上と打たれていたのです。
青柳投手:
「左打者をどう抑えるかってところで、もちろん僕に対して左バッターが多くなるのも分かってますし、どう抑えたらいいかっていうのをずっと考えていました」
そんな青柳選手の転機となったのが、昨シーズン終了後の秋季キャンプ。ある思い切った行動に出ます。
青柳投手(秋季キャンプのブルペンで山本昌さんに対し):
「高津さんのシンカーの投げ方を昌さんが知ってるって聞いて。教えてもらえますか?」
山本昌さん:
「知ってる知ってる。うん、いいよ」
臨時投手コーチで来ていた山本昌さんに自ら頼み込み、教えてもらったのが、現ヤクルト監督・高津投手のシンカー。
日米通算313セーブを挙げた球界のレジェンド。左バッターの外側に逃げながら落ちるシンカーを青柳投手は自分の武器にしようと、この日から新球シンカー習得に励んできました。
そして、迎えた今シーズン。このボールが、最も生きたシーンがありました。昨季の対戦打率が4割と苦手にしていたDeNAの4番・佐野選手に対し、第一打席で新球シンカーを繰り出して見事空振り三振!
そして、続く第二打席は、スライダーで2打席連続三振。一打席目で外に落ちるシンカーを意識させ、今度は外から入ってくるスライダー。佐野選手、全く手が出せません。
データで見ても、左打者の被打率が昨季の3割3分2厘から今季1割8分と、明らかに変化。シンカーを覚えたことで、苦手としていた左打者を完全に克服したのです。
青柳投手:
「投球の幅も、もちろん広がりましたし、結構空振りがとれたり、打者のタイミングを外せたり、左打者に対してすごい武器になっているので、本当に覚えてよかったボールです」
今年目標に掲げる13勝へ…。覚醒した新エースのピッチングに、今後も期待が高まります。
(関西テレビ8月1日(土)午後5時から放送『こやぶるSPORTS』より)