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横浜DeNAのホームゲームの阪神戦が18日、東京ドームで行われ、横浜DeNAが2-5で逆転負けを喫した。1-1で迎えた7回にオースティンの20号ソロで勝ち越したが、8回に起用したエスコバーが逆転を許すという誤算。緊迫のゲームを左右したのは、両チームのベンチワークだった。首位の阪神は4連勝、最下位の横浜DeNAは3連敗で、いまだ後半戦の白星を勝ち取ることができていない。

伊藤に代打送らず「動かない」という勝負手
 横浜DeNAが勝たねばならないゲームだった。
 三浦監督が懸命に言葉を絞り出す。
「大貫もよく踏ん張った。リードしたところで8、9回といきたかったのですが、なかなか思い通りにいかなかったですね」
先発の大貫がロハスに浴びたソロアーチの1点だけに抑え、ここまで3試合で2敗を喫して防御率0.82と苦手にしている伊藤将から4回に桑原の二塁打、佐野のセンター前タイムリーで1点を奪いゲームを振り出しに戻した。
 こういう展開の接戦は最終的にはベンチの戦いになってくる。
 矢野監督は動くべきところで動かなかった。いや「動かない」という勝負手だった。
 1-1の同点で迎えた7回二死一、三塁の勝ち越し機に投手の伊藤をそのまま打席に立たせたのである。報道によると矢野監督は、「総合的に、任せてみようと思った」と、その理由を明かしている。球数は、まだ67球。横浜DeNAに同点にはされたが、ここまでわずか3安打。相性の良さは続行中で、“お得意さん”を緩急とツーシーム、カット、カーブ、チェンジアップを駆使して手玉にとっていた。
 残り3イニングに、アルカンタラ、岩崎、スアレスは控えているが、6連戦の2試合目であることや、ここまでの起用頻度を考慮すれば、伊藤続投がベストと判断したのである。
 負けていれば、問答無用で代打だったのだろうが、まだ同点。勝てなくとも、最悪、伊藤で守りきり引き分けでいいとの開き直りである。メディアやファンの声を気にすれば、代打だったのだろうが、“オレのやりたいようにやる”という信念、首位チームの余裕が矢野監督のタクトににじんでいた。
 だが、その「動かない」という勝負手を三浦ベイスターズは、一度は失敗に終わらせている。大貫は、投手の伊藤に絶対に打たれるわけにはいかないと意識しすぎたのか、四球を与えて満塁とした。だが、救援した砂田が力で近本をねじ伏せてピンチを切り抜けると、その裏、一死からオースティンが、フルカウントからの6球目の失投を見逃さない。
 センターバックスクリーンにまで運ぶ20号ソロで勝ち越したのである。
 だが、この後が誤算だった。

 三浦監督が「8回の男」に選んだのは、左腕のエスコバーだった。
 本来ならば、ここは山崎である。だが、前日のゲームで一死しか取れず4安打3失点と炎上。途中降板を余儀なくされたセットアッパーは使えない。
 ブルペンに残っていた代役候補は、右腕では平田、伊勢、シャッケルフォード、左腕ではエスコバー、櫻井。苦しい台所事情でベンチの選択は間違っていなかっただろう。しかし、エスコバーは、いつもの勢いに欠け、加えて記録に残らないミスが重なった。そして、そのミスを誘いこんだのは、異例の「代走3人」という矢野監督の勝負手の二の矢だった。
 8回先頭の糸原に逆方向の二塁打を許す。阪神ベンチは1人目の代走の植田。続くサンズに対しての配球にミスが生まれた。エスコバーは2-2と追い込んでから外角低めへストレートを投じた。そここそが、サンズの得意ゾーンだった。この打席、空振りを取ったのは、内角のスライダー。打撃が窮屈になるインサイドで勝負すべきだったのだ。 
 無死一、三塁となって矢野監督は、サンズに2人目の代走の熊谷を送る。結果的に、この代走が勝負を分けることになる。大山にカウント2-1からランエンドヒットを仕掛けられた。守備固めに入っていた二塁手の柴田が、熊谷のスタートに合わせて動き、大山が叩きつけた打球に対する守りのタイミングが、一瞬、ズレた。併殺に、おあつらえむきのセカンドベース上のゴロにバウンドを合わせきれなかった柴田は、打球をスルー。これが同点タイムリーとなり、さらにピンチが広がる。記録はヒットだったが、阪神ベンチの“代走攻撃”に揺さぶられて生まれたミスだった。大山にも3人目の代走の島田。盗塁を許し、一塁が空いたところで佐藤には四球。満塁となって打席にロハスを迎えた。
 キャッチャーの伊藤は、ストレートを2球続けて要求し、連続で空振りさせた。球速は146キロ、152キロ。本来のエスコバーの球威ではなかった。
 だが、余裕のあるカウントで伊藤は、さらにストレートを3球続けた。154キロ、150キロ、156キロと、ムラのあるストレートは、いずれもファウルにされた。ストレート狙いのロハスのタイミングがバットを振りながら合いつつあった。結果論ではなくスライダーを使っておくべきだった。まだ日本野球に慣れていない外国人相手に「裏の裏」をかく配球は通用しない。

 6球目に、ようやく伊藤はインサイドに体を寄せてスライダーのサインを出した。だが、ボールを置きにいくように腕のゆるんだスライダーが、ロハスの足元を直撃した。痛恨の押し出し死球。勝ち越し点を与えると続く中野にも犠飛を打たれ2点差をつけられた。
 足でかき回されて満塁にされたことがボディブローのように効いていた。
「先頭に長打を打たれた後がエスコバーらしくなかった。ボールスピード(表示は)出ていたが、(調子は)もうひとつ。毎回、毎回、抑えられるわけではないが悪い方が出てしまった」
 三浦監督は、試合後、そう振り返った。
 8回は続投した伊藤に3者凡退に抑えられた。一死から伊藤裕、細川の代打カードを切ったが、初見で幻惑投法の伊藤を攻略するのは難しい。
 結局、回り回って矢野監督の「動かない」勝負手が吉と出た。対して横浜DeNAは、9回にマウンドに送った櫻井も佐藤にダメ押しタイムリーを打たれ、ストッパーの三嶋を温存したまま、後半戦3連敗となった。
 15日のヤクルト戦は先手を取ったがリードを守れず、17日の阪神戦は追いついたが突き放された。いずれの試合も打ち負けている。「(打線に)もう1本出ないときは、ピッチャーがカバーして踏ん張らないといけない」(三浦監督)のだが、東京五輪帰りの山崎が調子を取り戻せないでいると、たちまち「8回の男不在」という問題を抱えることになる。ロッテへトレードに出した中継ぎの国吉が2試合続けて好救援をしているのは皮肉だ。
 試合前に三浦監督は、こんな話をしていた。
「打撃コーチもいろいろと考えてくれている。やはりどの投手もそうだが、先に点を取らないと。理想は先制中押しダメ押し。投手も打者も腹をくくって打席でもマウンドでも攻めていかないとね。攻める気持ちは、みんな持っているが、打ちたい気持ち、抑えたい気持ちが強すぎてね。結果が出ていないから、そう(攻めていないように)見られるが、選手は今日こそはと取り組んでくれている。攻めていけるように、みんなで同じ方向を向いてやっていくしかない」
 気持ちが空回りし、投打の歯車が噛み合っていないが、やはりベイスターズの野球は「攻める野球」からリズムをつかまねばならない。今日の阪神先発は藤浪。はまれば手が出せないが、投げてみなければわからない不安定さも同居する虎の開幕投手である。
「早く後半戦の白星をね。全員で明日やっていくしかない」
 “番長”はそう前を向いた。




昨日は伊藤打席に立たせて点取れなくても、オースティンに勝ち越しの一発浴びても、たしかに負ける気せんかったもんな。不思議。 “首位”矢野監督の余裕と“最下位”三浦監督の苦悩…阪神「代走連続3人」采配が横浜DeNAに与えた衝撃とは?(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)  https://news.yahoo.co.jp/articles/7fa2d57da32dc5119eda30061f763e92a906b7a5 



ちょっと長いけどこれめちゃ良記事なんで見て。昨日の8回の大山の内野ゴロが併殺にならなかった理由 “首位”矢野監督の余裕と“最下位”三浦監督の苦悩…阪神「代走連続3人」采配が横浜DeNAに与えた衝撃とは?(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE) #Yahooニュース  https://news.yahoo.co.jp/articles/7fa2d57da32dc5119eda30061f763e92a906b7a5 


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