日本全国で緊急事態宣言が続き、プロ野球12球団は全体練習を行うことができていない。難しい状況の中で、各選手は定まっていない開幕へ向けレベルアップを図っている。
そんな中、阪神のスラッガー候補であるドラフト2位の井上 広大(履正社高)は、鈴木 誠也(二松学舎大附-広島)や岡本 和真(智辯学園-巨人)、山川穂高(中部商-埼玉西武)といった他球団の長距離砲を動画で研究しているという。そのなかでも「下半身」の使い方を特に学んでいるようだ。
名前の挙がった選手はいずれも昨シーズン30本塁打以上を記録しており、井上にとっては良きお手本となっていることだろう。
阪神は広い甲子園球場を本拠地としていることもあり、ここ数年、生え抜き選手では2017年に中谷 将大が20本塁打を放ったのが最多。30本塁打以上を放つような長距離砲はなかなか誕生していない。
生え抜きという限定を外してみても、2010年にブラゼルが47本塁打を記録したのが最後。9年間、30本塁打以上を放つ選手が1人も現れなかったのである。
生え抜き選手で30本塁打を記録したのもかなり昔のことだ。遡って調べてみると、日本一を達成した1985年に掛布雅之が40本塁打、岡田彰布が35本塁打を放ってから34年間不在となっている。
また、井上と同じ「生え抜きの高卒右打者」ではドラフト制度となった1965年以降、ひとりも30本塁打に到達していない。
井上は高卒1年目ながらこの春一軍に合流。本塁打こそ出なかったものの、適時打を放つなど実戦でも結果を残した。ファームでは練習試合とはいえ、本塁打も記録している。まさに期待の大砲候補と呼ぶにふさわしい存在だ。
ちなみに母校である履正社はTー岡田(履正社-オリックス)と山田 哲人(履正社-東京ヤクルト)という本塁打王2人を輩出している。ライバルである大阪桐蔭高校は中村剛也(大阪桐蔭-埼玉西武)のひとりだけ。かつての盟主であるPL学園高校から本塁打王は生まれていない。
少し気は早いが、井上はドラフト制以後球団初の高卒生え抜き右打者の30本塁打以上、そしてTー岡田、山田の先輩ふたりと肩を並べ履正社から3人目の本塁打王となるだろうか。
虎待望の長距離砲にかかる期待は大きい。