<ヤクルト0-4阪神>◇28日◇神宮
期待の大砲候補が覚醒モードだ。
阪神4年目の井上広大外野手(21)が、プロ初の決勝打で連勝を導いた。初回2死満塁でWBC世界一メンバーのヤクルト高橋から左翼線に先制の2点タイムリー。27日の巨人戦と合わせて2戦4安打6打点の大活躍で、右翼の定位置どりを猛アピールした。首位DeNAは今季初の5連勝でがっちり堅首。2ゲーム差で追う岡田阪神も負けじと食らいつく。
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井上は初球を狙っていた。初回2死からみんながつないだ満塁のチャンス。ヤクルト先発高橋の真っすぐを完璧に捉えた。左翼線への2点タイムリーで高橋&中村の「侍ジャパンバッテリー」から2点を奪取。左翼から大声援を送る東都の虎ファンを沸かせた。
「とても速くて吹き上がるイメージがある真っすぐでしたけど、それを1球ではじき返せた。またこれが次につながってくれればなと思います」
前日巨人戦の3安打4打点に続き、2試合連続効果的な適時打で、チームの連勝を呼び込んだ。得点圏打率も5割5分6厘と起用に応えている。「得点圏にいる時は本当に走者をかえすという気持ちで立っている。それがほんとにいい結果につながっています」。充実の表情に自信があふれてきた。
岡田監督が心配していた「打ち疲れ」も吹き飛ばした。前日27日の巨人戦でチームは2本塁打を含む今季最多19安打&15得点で圧勝。阪神が15得点以上の次戦は過去、通算40勝27敗1分けだったが、岡田監督は「多分明日は点を取れないだろう」と不安視していた。高橋は初回以降立ち直っただけに、もし井上が第1打席で凡退していれば…。岡田監督も井上が先制パンチを食らわせて機能した打線にニンマリだ。「(打線が)心配したけどなあ、良かったわ(笑い)。6、7(番)が打ったら点になるよなあ」と井上に続いて適時打を放った坂本との履正社コンビをたたえた。
高校時代、不動の4番として星稜との決勝で奥川(ヤクルト)から3ランを放つなど全国制覇した甲子園のスターは1歩ずつレベルアップ中だ。2月の沖縄・宜野座キャンプはMVPに選出されたが、好調だった森下らに押し出される形で開幕は2軍で迎えた。悔しさをバネにつかんだチャンスは離さない。「出る試合をしっかり自分のものにできるようにこれからもやっていきたい」。プロ4年目。期待の和製大砲候補が覚醒の時を迎えようとしている。【三宅ひとみ】
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