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<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>

 3年前の冬だった。アマ担当として大阪に転勤してきた記者は「関西6大学野球連盟」の納会に初めて参加した。

 所属する大商大からドラフト指名された3選手の表彰があった。

 阪神から育成ドラフト1位で指名された小野寺暖外野手(24)、中日ドラフト2位の橋本侑樹投手(24)、ヤクルトのドラフト4位大西広樹投手(25)の3人が壇上にあがった。小野寺は「まだ育成なので…」と、プロ入りは同じでも即戦力が期待される2人と違う立場を痛感している姿が印象的だった。

 背番号「127」からの出発。支配下になったのは2年目の開幕後、4月18日に支配下登録を勝ち取り、背番号も「97」となった。今季は4月21日DeNA戦(横浜)で左腕坂本から代打逆転満塁本塁打を放った。だが32試合出場でスタメンはわずか10試合。打率1割3分6厘、1本、7打点と不本意な数字に終わった。

 「今年活躍できなかった。変えて挑みたい」と、来季から背番号を「60」に変更する。母子家庭で育った小野寺が「お父さんのような方」と慕う恩師の大商大・富山陽一監督(58)と同じ背番号をつけた。「監督から支配下になって60番を勝ち取れと言われていたので」。その言葉通り背負うこととなった。

 今季限りでソフトバンクを退団した中谷将大外野手(29)が、昨季途中に移籍するまで阪神で背負っていた番号でもある。阪神在籍時にはかわいがってもらった。番号変更の連絡をした時に「オレの(自己最多)20本を超えてくれ」と激励された。2人の思いを背負う。

 背番号「44」のヤクルト大西は中継ぎ右腕で欠かせない存在となった。岩瀬仁紀氏の「13」をつける中日橋本は今季途中から先発転向し、来季に勝負をかける。現時点では大西が一番活躍している。小野寺は「いい意味で育成(出身)というのを忘れたい」と話す。あの3年前の壇上でちょっと引いていた姿を見ていただけに、今は同じ土俵で勝負できるという自信とやる気を感じた。

 南海時代に門田博光氏(74)がつけていた時には大きいと感じていた背番号「60」。育成選手が各球団に増えた今は比較的若い数字に見えてしまう。右の打てる外野手は来季の阪神の重要な補強ポイント。小野寺にも十分チャンスはあるし、大商大同期トリオがそろって活躍することを楽しみにしている。【阪神担当 石橋隆雄】

https://news.yahoo.co.jp/articles/7ffa24c4e9941c334106838ea88513af018464eb 
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