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 ◇セ・リーグ 広島ー阪神(試合前中止)(2021年5月21日 マツダ)

 阪神は予定の広島との3連戦が延期となった。広島チーム内で新型コロナウイルス感染者が多数出たためで、鈴木誠也ら主力選手も含まれている。17日の菊池涼介陽性判定から広がりを見せている。あらためてコロナの怖さを思う。

 今季は開幕直後からヤクルト、巨人、日本ハムらに感染者が出て、濃厚接触者も含めて試合出場が止められ、チーム活動も制限された。主力選手の離脱はペナントレースの行方も左右する。

 阪神が優勝した1985(昭和60)年、首脳陣は主力の故障離脱に注意を払った。参謀格の守備コーチだった一枝修平は真弓明信に「無理なプレーはするな」と言い聞かせたそうだ。フェンス際や飛び込む必要のある打球にブレーキをかけていた。「一つのアウト・セーフはその試合では大切だろうが、ケガしておまえに何試合も抜けられる方がチームとしては痛手なんだ」。掛布雅之や岡田彰布らにも同様の話をしていたのではないか。

 だが、いくら注意しても故障はついて回る。特に今季はヘッドスライディングによる負傷が目立つ気がする。巨人・坂本勇人、DeNA・倉本寿彦はともに今月9日、一塁へのヘッドスライディングで指を骨折した。ソフトバンクのジュリスベル・グラシアルも7日に指を骨折した。

 倉本は内野ゴロでの走塁だったが、坂本とグラシアルは帰塁だった。憤死を逃れるためとっさに頭から帰ったのだ。

 「けがをする」と現役時代、決してヘッドスライディングをしなかった「世界の盗塁王」福本豊の嘆きが聞こえてくる。

 著書『走らんかい!』(ベースボールマガジン社新書)には、一塁走者として、けん制球の帰塁について<必ず足から帰った>とある。<昔の一塁手はタッチがえげつのうてねえ。ガツンと、そりゃあ痛かった><今は平気で頭からベースに帰る。(中略)昔やったら、一発でケガさせられていますよ>。

 少年野球の一部団体はヘッドスライディングを禁止にしている。桑田真澄(現巨人投手コーチ)が少年野球の父子向けに著した『常識を疑え!』(主婦の友社)には<ヘッドは危険。足から滑ろう!>とある。

 一方で、けん制球の帰塁はヘッドの方が速く、長いリードが取れる、という論がある。アメリカでも古くから広まっていた。

 1983(昭和58)年、慶大野球部が米国遠征した際、南カリフォルニア大(USC)監督のゲーリー・アダムスから走塁指導を受けた。当時の慶大監督・前田祐吉が著書『野球と私』(青蛙房)に記している。一塁走者でけん制を受けた際、<頭から飛び込め>という。<前日の雨で水を含んだグラウンドに、つい尻込み気味だった選手たちも、中年のアダムス監督が自らユニフォームを泥だらけにして飛び込む身体を張った指導に、全員の態度が一変した>。

 このヘッドでの帰塁でリードの幅が広がり、次塁を目指す積極的な走塁が広まったそうだ。

 このヘッドスライディング論議はさておきたい。

 巨人は坂本負傷から3日後の12日から走者に「走塁ガード手袋」を着用させるようにした。米国製で、正式には「スライディング・ミット」という。大谷翔平ら大リーグでみられる「鍋つかみ」のように分厚く、手指を保護できる。

 プロ野球では2018年開幕後の5月8日から左右いずれかの手に限り使用許可となった。長さ30センチ以下、幅13センチ以下などの規定がある。

 阪神では新外国人のメル・ロハス・ジュニアが使っている。球団副社長・谷本修によると「全員が着用する方がベターとなれば、取り寄せることになる」と、今後の検討課題にしてある。

 今季、梅野隆太郎が一塁へ、佐藤輝明は二塁へ頭から突っ込んだ。危ないのは確かだが、止めるわけにもいかない。

 手指の消毒に手指保護の「鍋つかみ」か。首位を走る阪神がいま最も怖いのはコロナとけがだろう。 =敬称略= (編集委員)




【内田雅也の追球】手指の保護に「鍋つかみ」も 首位快走の阪神が怖いコロナとケガ(スポニチアネックス)  https://news.yahoo.co.jp/articles/179921364683e6a265cabf63048a7cd8e6abd9d0  今の阪神さんなら怪我人が出てもすぐ代わりの選手が活躍しそう。



【内田雅也の追球】手指の保護に「鍋つかみ」も 首位快走の阪神が怖いコロナとケガ― スポニチ Sponichi Annex 野球  https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/05/22/kiji/20210522s00001173026000c.html  巨人の選手が装着してるのは知ってたけどロハスが使用してるのは知らなかった😳


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