(セ・リーグ、阪神13-1DeNA、5回戦、阪神4勝1敗、24日、甲子園)腹をすかした猛獣のように、阪神・木浪が初球から一気に襲い掛かった。13試合ぶりのスタメン出場のチャンスを生かす3点二塁打を含む2安打4打点。“恐怖の8番”が打線の爆発を生み出し、うっ憤を存分に晴らした。
「楽しいという気持ちが強かった。久しぶりの試合の1打席目だったので、思い切って初球から振ってやろうという気持ちが結果につながってよかった」
■「自分を信じて動くだけ」
一回にマルテと佐藤輝の適時打で3点をリードし、なおも1死満塁。DeNA先発・上茶谷のスライダーを迷いなく振り抜き、鋭い打球が右翼線で弾むと一走・梅野も一気に生還。走者一掃のタイムリーで突き放し、3連敗中の嫌なムードも完璧に吹き飛ばした。
「昨日の夜からスタメンがわかっていてすごく準備した。あとは自分を信じて動くだけ」。気迫十分で臨み、6日の巨人戦(甲子園)以来、出場8試合ぶりの打点。12-1の六回1死二塁でも適時二塁打を放って今季初のマルチ安打もマークした。
■今季最多13得点&18安打呼んだ
開幕から山本との併用が続き、10日のDeNA戦(横浜)からはD6位・中野に遊撃の定位置を奪われた。「ずっと悔しい思いをして、ベンチで見ていることが多かった」。ベンチで仲間を鼓舞しながら、胸の内で逆襲の思いを燃やし続けてきた。矢野監督は「聖也(木浪)も悔しい気持ちっていうのはずっと持ちながらやっている姿はもちろん見ていたのでね。昨日負けたところで、聖也で行ってみよう」と起用を決断。期待した反骨心が打線の“潤滑油”となり、ともに今季最多となる13得点&18安打を呼んだ。
チームは爆勝で連敗を3で止めたが、木浪は「まだまだこれから。貢献できるようにやっていきたい」と満足せず。誰にも定位置は譲らない。ここから巻き返す。(新里公章)