<阪神0-2巨人>◇4日◇甲子園
甲子園で今季最後の伝統の一戦は悲しき0行進…。阪神打線が天敵の巨人赤星優志投手(23)らの前に沈黙し、1963年(昭38)に並ぶ球団ワーストの24度目の完封負けを喫した。3安打の巨人を上回る7安打を放つも拙攻の連続。新人右腕に先発3戦3勝を献上した。クライマックスシリーズ進出を争う広島と巨人に2ゲーム差に迫られた戦いぶりを、元阪神監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(69)も厳しく指摘した。
◇ ◇ ◇
打線は今季24度目の完封負けを喫したが、巨人の先発赤星に対して、どう攻略するのか、というのが見えなかった。
チーム全体で低めを捨てて高めを狙え、などということではない。それは打者によって個人差があるから、一様には指示できない。言いたいのは、各バッターが、2ストライクまで配球を読みながら、狙い球を絞っていくということだ。赤星は特別に球が速い投手ではない。手が出ない変化球があるわけでもない。それだけに、甘い球が来れば打つという漠然とした意識があったのではないか。
打者にとって、相手バッテリーに考えさせるのは重要な作業だ。例えば、体を開き気味に待ち、インコースを狙っていると思わせる。アウトコースでストライクを取れると思わせて、そのコースに狙いを絞る。攻略の難しい投手なら、そういうことも考えるかもしれないが、特別なボールがない投手には対しては、ハマりがちだ。簡単に言えば、打者に工夫がなかった。
用兵面で、理解できなかったのが、最終回の攻撃だ。2死から大山が出塁して、江越が代走で起用された。盗塁で二塁に進んだが、代走も盗塁も必要だろうか。この状況で、同点にするには、打者ロハスの本塁打しかない。追いついた場合、延長戦で再び大山に打席が回ってくる可能性がある。代走が必要なのは、ロハスも出塁した時だ。同点のランナーになるため、ここでカードを切るべきだ。さらにいえば、2死一塁での盗塁はあまり意味がない。アウトになれば、試合が終わってしまう。勝ちにこだわることを考えれば、全く動く必要がなかった。全員で野球をやるというのは、そういう意味ではないと思う。
今季24度目の完封負けというのは、そういう打者の対応や用兵面の変なこだわりの積み重ねといえる。
先発西純に関しては、責められる投球ではないが、中田への初球フォークという選択はどうだろう? 7回の先頭に四球を与え、投手の心理ではストライクがほしい場面。フォークはストライクからボールに投げる球種で、ストライクを取りにいく球ではない。まして四球を出して反省の思いが残っている。フォークなら打たれないだろうと選択したなら、大きな間違いだ。外角にストレートやスライダーといった制球しやすいボールを選べば、本塁打の確率も下がっただろう。これから成長する上で、西純はこの悔いの残る1球を今後に生かしてほしい。