1


 現役時代に通算2539安打、476本塁打をマークした金本知憲氏。阪神の監督を務めていた時代、打撃に関して「一番、良かった練習法は何ですか?」と聞いたことがあった。鉄人の異名を取ったスラッガーは「素振り」と即答。そして理由をこう説明してもらった。

 「素振りが一番、自分のタイミング、自分の形でスイングできるから」

 確かに現役時代、練習日に甲子園球場の一塁側ベンチ裏のミラールームで黙々とバットを振り込む金本氏の姿があった。1時間、2時間…出入り口で待ち続けることもザラだった。打撃のレベルアップ、調整法に関してさまざまな練習方法がある中で、最も過酷で“地味”な印象を受ける素振り。ただ一流と呼ばれる選手ほど、1人でバットを振り続けてきたイメージが強い。

 ミスタータイガースと呼ばれた掛布雅之氏も現役時代に素振りのエピソードが数多く残る中、阪神の2軍監督時代にこんなことを語っていた。

 「算数に置き換えると打撃は足し算、引き算、割り算なんですよ。僕が10の力を持っているとしたら試合では相手の変化球、タイミングなどで5くらいの引き算、割り算になる。今の若手をゼロとするなら、まず素振りからつくって1にしないといけない。ゼロのままだと足し算もできないよね。それが基礎の部分。スイングでゼロから1に持って行ければ、あとは簡単。ティーや打撃練習で数字を足し算していく。打撃の順序なんですよ」

 2015年には素振りの効果を立命大総合科学技術研究機構が科学的に実証。立命大硬式野球部の協力をあおぎ、当時、樋口貴俊特別研究員が素振りでのスイング力を100%とした場合、ティー打撃で90%、フリー打撃で80%、試合ではそれ以下になるとデータで示した。

 打撃力アップのためには、いかに素振りと同じ形、同じイメージでボールを打てるか-。一方でスイング力という基礎の部分をアップさせ、ボールを打つことに対応していくかがポイントだった。

 2軍監督時代、ファームの試合後に約30分から1時間の“素振り時間”を設けていた掛布氏は「今の若い子たち、学生にしてもボールを打つ環境が整いすぎてるよね。打撃マシンもあるし、いつでもボールを打てるんだけど、その一方で少なくなっているのがスイング。バッターは自分で主導権を持ってスイングしないといけない。素振りだと自分でイメージして振れるでしょ。マシンやティーでも、ボールに合わせようとすればスイングは崩れる」。基礎の大切さを若虎に訴えていた。

 野球経験者からすればただバットを振るよりも、ボールを打つ方が楽しい。ただプロで実績を残す一流選手ほど、素振りという練習を大切にしている。(デイリースポーツ・重松健三)




一流打者が愛した練習法は?元阪神・金本氏らが即答したのは「素振り」(デイリースポーツ) #Yahooニュース  https://news.yahoo.co.jp/articles/45860c64ccf8c83597dc840b636e22b00dac7ddb  素晴らしい監督もそう言っとったわね。(´・ω・`)


続きを読む