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【球界ここだけの話】

11月10日から始まった阪神の秋季練習(甲子園)の2日目。シーズン中、見られなかった光景を目にした。

「一日一日、一球一球、無駄にしないように。自分に、何が必要かを考えてやりたいと思います」

来季に巻き返しを誓った大山悠輔内野手(26)に、バットを手に身ぶり手ぶりでアドバイスしていたのは〝担当外〟の藤井バッテリーコーチだった。北川、新井両打撃コーチとともに、久慈内野守備兼バント担当コーチや平田2軍監督も大山の打撃練習に熱視線を送っていた。

チーム関係者の一人は「この時期(秋)は担当も担当外も関係ない。気がついたことがあれば、どんどんアドバイスすればいいと思う。選手だって普段、接することが少ないコーチの助言を聞くことで、新たな発見があるかもしれない」と明かした。

今年は1、2軍合同で、野手は甲子園、投手は鳴尾浜に分かれて秋季練習が行われている。矢野監督は「若い選手を見る機会」と、その意図を説明したが、選手サイドにもメリットはある。阪神、ロッテで通算18年プレーし、今季限りで現役を引退した鳥谷敬氏は「僕の打撃をどう思いますか?」と投手コーチや2軍の指導者にアドバイスを求めた。実際に、担当外のコーチからアドバイスを受けて復調のヒントになった、という話を聞いた。

昨季リーグ2位タイの28本塁打をマークした大山は「それ以上の数字を残したい」と2021年シーズンに臨んだが、打率・260、21本塁打、71打点と周囲の期待を裏切った。ヤクルトと優勝を争っていた優勝を終盤はスタメンを外れることも。悔しい思いしかなかった1年だった。

「シーズンが終わったばかりと言っても、あっという間に来年が始まってしまう。本当に時間は少ないですし、やることはたくさんある」

担当外や2軍の指導者からのアドバイスにも耳を傾け、良いものはどんどん取り入れる-。来季巻き返しへのきっかけやヒントにするためだ。(三木建次)




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