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 秋晴れの甲子園でミットを手に白球を追った。藤川も福留も能見もいない来季へ、梅野が頼りになる“兄貴分”となるべく、思いを語った。

 「ここまで上の人が急にいなくなるのは初めて。選手会長であり、捕手というポジションである中で、経験をしているからこそ、チームの状態が悪い時に、底上げを変わらずやっていきたい」

 2018年から選手会長を務め、今季もチーム最多の86試合でスタメンマスクを被った。来季は30歳シーズンで名実ともに中堅となる。しかも、これまで投打の精神的支柱だった3人が抜けたとあれば、背負うべき責任はより大きくなる。

 特に能見とは2016年のオフから自主トレを行い、多くを学ばせてもらった。「アドバイスだったり、プレーでというか、言葉でもすごく重みのある感じだった」。投手から見て、信頼に値する捕手とは。成長の糧としたノウハウは、数え知れない。

 「先輩たちにもらった言葉を、後輩たちにという思いは強い」。今度は自分が後輩に伝えていく番。転換期にあるチームを、引っ張っていく。

 「『しっかりとした準備』。その言葉をずっと言ってきている。準備を怠らず、新たなシーズンを先輩、後輩たちと迎えて、いい年にできるように」

 完敗の2位だった2020年はもう終わり。その目は、早くも2021年シーズンをにらんでいる。(菊地峻太朗)

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