阪神の矢野燿大監督(53)が31日、今季限りでの退任を発表した。キャンプイン前日に恒例の全体ミーティングを実施。その席で選手、スタッフに退任の意向を示した上で、今シーズンに懸ける思いを伝えた。超異例とも言えるタイミングでの発表に「伝えたことで戦っていく決意、覚悟はできた」と指揮官。まさに集大成となる最終年へ、退路を断って挑んでいく。矢野監督との一問一答は以下の通り。
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(テレビ会見で)
-ミーティングではどんな話をしたのか。
「スアレスが抜けた穴というのはチーム戦力的にもかなり大きい部分。でも、若いピッチャー陣にとってはひと枠空いたので。それは大きなチャンス。その穴を1人で埋められなくても2人3人で。野手がもう1点取れればピッチャーだって楽だし、しっかり守ってやればその穴も埋められる。現状は戦力的にはダウンという感じかもしれないけど、キャンプが終わった時にレベルアップできて、穴を埋められて成長できたというキャンプにしていこうと」
(続けて)
「そういう話をしたのと…。もう1個は、えぇ…俺の中で、今シーズンをもって監督は退任しようと思っているので、それを選手たちに伝えて。俺も選手たちに『後悔のない野球人生を歩んでもらいたい』とか、『きのうの自分を超える日々を過ごしてほしい』とか言っている中で。俺自身が退路を決める中で、監督としてきょうのあいさつも『最後だな』と気持ちを持ってあいさつをさせてもらったし。あしたの2月1日の一日というのも、もう返ってこない一日なので。その一日も退路を決める、『来年はもう監督という立場でここに来ていることはないんだな』という気持ちを持って、自分も挑戦していきたい。それがチームのためにも選手のためにも、申し訳ないけど俺のためにもなるのかなという決断で決めたこと。そういうふうに伝えさせてもらいました」
-話をした時の選手の雰囲気や表情は。
「どうなんかな。俺もこみ上げてくるものがやっぱりあったし。でもスタートなんでね。なにも後ろを向いてやるためにそんなことを言ったわけではない。俺が辞めることで頑張ってくれというんじゃなくて、選手の見本になりたい。で、一日一日やりきりたいというのを伝えさせてもらったので。思いはしっかり伝えられたというのは、自分の中ではある感じです」
-意気込みを。
「去年の悔しさをもちろん持っていますし、でも去年やれた、成長できた部分もたくさんある。長いシーズンを乗り越えていける、そういう自信があふれるようなキャンプにしていきます」
(ペン記者取材)
-家族には伝えた。
「そら最初に言うやろ(笑)」
-反応は。
「いや別に特に変わった反応、ビックリするような感じもないし。『そうなんだね』という感じでした」
-スッキリした表情に見えるが。
「いやもうスッキリしたね。言うことでマイナスな部分も、もちろんあるっていうのを自分の中でしっかり考えて。それでも伝えた方がやっぱりいいというか、自分も覚悟をさらに決められるということもあるし」
-フロントからは慰留もあったのか。
「もちろん、ありがたいというか、そういう言葉を頂けた部分もあった。こんなんね、本当は俺が決めることじゃなくて球団の方々が決めることだと俺も理解してるんだけど。でも自分の中で決断したんであれば、なるべく早く伝えるというのが球団にとってもいいのかなと」
-3年契約を終えての4年目。集大成という気持ちも。
「プロなんで結果が求められるというのはもちろん当然。でも本当に3年間、中身というか、みんなの姿勢というか、いいチームになってきたなというのが俺の中にあって。伝えられることはこの3年間、全力で伝えてきたし、俺の勝手な個人としての集大成としてね、1年間やりきるというところには、みんなきてくれたなというのはある」
-今年こそ優勝。
「そらしたいよね、したい。俺たちの野球を貫くことの先にそれがあると思っているんで。そういう気持ちで今シーズンも戦っていく決意、覚悟はできたかなと思います」