阪神の大胆な打線変更は実を結ばなかった。打撃不振に苦しむ阪神は2日、マツダスタジアムで行われた広島戦で、怪物ルーキーの佐藤輝明(22)、ジェリー・サンズ(33)、ドラフト6位の中野拓夢(25)の3人をスタメンから外し、代わりに1軍昇格したばかりのロハス・ジュニア(31)、巨人から移籍の山本泰寛(27)、育成出身の小野寺暖(23)を起用する大胆な布陣で挑んだが、先発の西勇輝(30)が2回に7失点する誤算もあり1-7で敗れた。試合がなかった巨人と1.5差。消化試合数の関係で阪神は今日3日の両チームの勝ち負けで首位を陥落する崖っぷちに追い込まれた。
ロハスが走塁ミス
矢野監督が動いた。
不振の大山に代えて3試合4番を任せていたサンズ、怪物ルーキーの佐藤、旋風を巻き起こしていた同じくルーキー中野の3人をスタメンから外し、昇格させたばかりのロハス、山本、そして育成出身の2年目でウエスタンリーグの首位打者でもある小野寺の右打者3人を起用した、クリーンナップは、3番・ロハス、4番・マルテ、5番・大山。だが、その新布陣が空回りした。左腕の玉村の立ち上がりを攻めて、二死からロハスがセンター前ヒットで出塁したが、マルテを打席に迎えてのカウント2-2からギャンブルスタート。冷静に見ていた玉村が牽制で挟み、先制点のチャンスを潰したのである。
機動力が今年の矢野阪神の売りだが、それは相手のスキやフォームのクセを盗むなど根拠のあるものでなければ作戦ではない。
昨年まで7年間、虎のコーチを務めた評論家の高代延博氏は「外国人のコンビには難しいサインは出せないので、おそらく玉村が走者に対してノーマークだったことからディスボールで盗塁のサインを出したのでしょう。はまれば、してやったりとなるかもしれないが、裏をかくべき場面と、そうではない場面がある。まだ1年目のロハスの理解度と走力。マルテの長打への期待を考慮すると結果論ではなく、あの作戦を取るべき局面ではなかったと思う」との厳しい意見。
結果的に先制機を逃した阪神は、2回に広島と相性のよかった“カープキラー”西がつかまりまさかの7失点。先頭の鈴木にツーシームをレフトの場外にまで運ばれると、外への変化球オンリーとなる配球を読まれ投手の玉村にまで内野安打でつながれての4連打で打者一巡した。最後は、この回、2打席目となった鈴木に二死満塁から高めに浮いたスライダーを叩かれて打球は左中間を真っ二つ。走者一掃で7点を刻まれてしまった。
大改造した阪神打線は7回に近本の犠飛で1点を奪うのが精一杯。サンズは7回二死一塁から代打で登場してセカンドフライに倒れ、佐藤も9回にノーヒットの小野寺に代わって代打で出てきたが、タイミングを外されてショートゴロに終わった。
そもそも、なぜ矢野監督は、ここまでの快進撃を支えてきたサンズ、佐藤、中野の3人を同時にスタメンから外したのか。
関西のスポーツメディアの報道によると、矢野監督は、大幅な打線入れ替えの狙いをこう説明したという。
「疲れもあるし、これから先のことを考えて、いろんなパターンも考えながらやったこと」
「(佐藤と中野は)1年間プロでやるのも初めて。疲れてくるのも当たり前。その中でいったんベンチから試合を見るとか離れてみるということで違うものが出てくれたら」
コメントの中に「疲れ」という言葉が散在した。
サンズは2試合ヒットがなく6月30日のヤクルト戦では3三振と調子を落とし、佐藤も、3試合11打席ヒットがなく、本塁打は6月23日の中日戦以来出ていない。中野も6試合音無しの“ミニスランプ”である。つまり矢野監督は、その理由を「疲れ」と判断して、先を見据えて「積極的休養」を取らせたのである。
だが、高代氏は、この采配に疑問を抱く。
「相手は1勝したばかりの2年目左腕の玉村。やはり打線にサンズ、佐藤という一発のある打者が並んだ方が警戒心というプレッシャーを与えて制球ミスなどを誘引しやすい。広島の小園、林の三遊間の守備力には不安もあるし、足のある中野がゴロを転がせば面白い。なのになぜ使わないのかなという疑問が浮かんだ。チームの内部のことはわからないので、ひょっとすると深刻な故障などがあり入れ替えをせざるを得なかったのかもしれないが、一気に複数の人数を入れ替える起用は、いかがなものかと思った。確かに私の新人時代を振り返っても大学、社会人時代とは比べものにならない疲労に襲われ調子を落としたことがある。ただ今年は五輪による中断期間があるため、この試合を含めて残り12試合である。そこを越えれば、たっぷりとリフレッシュ休養が取れるのだ。おそらく本人たちは“出たい”という気持ちが強いんだと思う。明日の試合は、どうするかわからないが、1試合休んだくらいで疲労は変わらない。彼らをレギュラーに定着させたいのであれば、疲れというものにどう対処するかも重要な経験となる」
高代氏が指摘するように今季のペナントレースは、五輪期間を見据えて7月15日から中断となる。佐藤らは球宴に選ばれているが、再開は8月13日。4カードがんばればリフレッシュの時間がたっぷりと取れるのだ。今、このタイミングで「積極的休養」を取らせる必要があったのだろうか。
虎はこの7試合で1勝5敗1分けと調子を落とし、最大8ゲーム差をつけていた巨人とは、ついに1.5差となった。
高代氏は、「広島が勝ち切れていないチームであり、左腕の玉村だったからできた起用だったのかもしれないが、この交代は先を見据えた戦略や余裕ではなく、巨人を意識したベンチの焦りに見える。終わってみれば、この試合が分岐点だったなということになる危険性がある。長いシーズンを見れば必ずチーム状態に波は来るもの。そこでどう対応するかにベンチのマネジメント能力が試されるのだが、方向性が違っているように思えてならない」と厳しい指摘をした。
今日3日に巨人が横浜DeNAに勝ち阪神が広島に連敗すれば、消化している試合数の関係で阪神が勝率で下回り首位を陥落することになる。ペナントレースは、ちょうど折り返し地点である。
この日、中谷将大外野手(28)と二保旭投手(31)の交換トレードが成立して両球団から発表された。ブルペンの疲弊により「7回の男」が不在となっているチームのウイークポイントを補った。フロントの優勝への本気度を示すトレードである。二保はチーム事情で今季は、1軍で2試合しか先発していないが、ファームでは11試合に登板、10試合に先発して4勝1敗、防御率2.57の成績。先発でも中継ぎでもロングリリーフでも使える。ツーシームを軸とする変化球投手だが、フォーシームも150キロをマークするなど新境地にも挑戦している。
ただ、いくらフロントが戦力を整えても、肝心の現場が「焦り」が表面化するような野球をしていては空回りである。阪神は前半戦の正念場を迎えているのかもしれない。
優勝するとなにかまずいことでもあるんだろうか。
采配に焦り?!なぜ阪神の矢野監督は佐藤、サンズ、中野を3人同時に先発から外したのか…今日にも首位陥落危機(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)
#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff65ae5d1f8f5c8053495039981a12df3989f4ce …
最初に用意してたプランがコケると後はズルズル行く感じ。選手の交代等で流れを変える采配を。
采配に焦り?!なぜ阪神の矢野監督は佐藤、サンズ、中野を3人同時に先発から外したのか…今日にも首位陥落危機(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE) https://news.yahoo.co.jp/articles/ff65ae5d1f8f5c8053495039981a12df3989f4ce …