ドラフト1位で阪神に入団した森木大智投手(18)の評判がうなぎ上りだ。まだ2軍養成中だが、高校(高知)卒業1年目からの1軍抜擢はあるのか。阪神でも指導経験のあるデイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「今季中の1軍デビューはないだろう」と予測したが…。
森木と言えばポテンシャルの高さは折り紙付きで、中学時代から“バケモノ”のようなボールを投げていた投手ですよね。それだけに私も早く1軍の舞台で投げるところを見たいという気持ちはあるが、さすがに今シーズン中の1軍はないでしょう。
理由は2つ。まずはタイガースの育成方針が、かなり慎重だという点。ファームでも球数制限をして、しっかりと管理している。特に1年目の投手には神経を使う。
今年3年目になる及川もいい素材だが、1軍で起用されるようになったのは昨年から。
及川と同学年のヤクルト・奥川も1年目は無理をさせず、最終戦に登板した以外はファームで育成し、本格的には2年目の昨季から1軍戦力として使うようになった。
彼はピッチングを心得ており、若いのにボールの扱いがうまい。クレバーな投手でもありメンタルも強そうだが、2軍で育てられている間に身についたのかもしれない。森木も彼と似たような“怪物ロード”を歩むのではないかな。
もうひとつは投手陣の台所事情にある。つまり先発投手の頭数に困っていないという点だ。むしろこちらの理由の方が大きいと思うね。
先発投手は秋山、青柳、伊藤将、西勇、ガンケル、アルカンタラ、藤浪、及川、高橋、大卒新人の桐敷らスラスラと名前が挙がってくる。中にはコンディション不良の投手も含まれているが、この層の厚さが阪神の強みでもある。
阪神では藤浪が高校を卒業して1年目の2013年にローテーション投手に抜擢され大活躍した。ただ、当時は前年のチーム成績(55勝75敗14分の5位)が示す通り、新人が割って入る余地があった。
先発投手はメッセンジャー、能見、スタンリッジ、岩田、小嶋、榎田というメンバー。ここに身体能力で図抜けていた藤浪が加わった。
今年は2013年と明らかに事情が違うだけに、森木を1軍で起用するための必然性がない。
阪神が1位指名して外した小園はDeNAAで1軍に帯同し、その小園とバッテリーを組んでいた松川はロッテで開幕1軍をアピールしている。
しかし、チーム事情や育成方針の違いもあるだろうから、使われ方は気にしないほうがいい。
森木自身は“いつでもいける”と頼もしい発言をしているが、デビューはまだ先かな。じっくり体を作り、プロの生活になじんでからでも十分でしょう。
ファームで目を見張るような結果を残し、“これでも使わないのか!”という本人の猛アピールがあれば別だろうけど。そうなればぜひ見てみたい。楽しみな投手であることは間違いないからね。