
平成から令和に時代が移ると共に、矢野阪神が新たな息吹をセ界に吹き込んだ。試練の12連戦を8勝3敗1分と大きく勝ち越し、最大6あった借金を返済して貯金生活に突入。戦前に「できたら8勝4敗で」と叱咤激励した虎のレジェンドOB・小山正明氏の言葉通りの結果を残した。これには同氏も「大満足?」と高評価。さらに、今後の5月戦線に向けてのカギを「5番・福留の起用法やろう」と指摘した。
◇ ◇
いつもは辛口評で鳴る小山正明氏も、時代をまたいだ矢野阪神の快進撃には最大級の賛辞を惜しまない。前回話を聞いた4月26日の時点で、矢野阪神は借金3の4位。DeNAに横浜で3連勝していたとはいえ、主力のメッセンジャーが右上腕打撲で出場選手登録を抹消、今季期待の新助っ人のはずだったガルシアも不振で2軍調整を強いられていた。そんな状況下で試練の12連戦に入ったのだから、虎のレジェンドOBも心の底では不安視していた。ところが蓋を開けてみたら…の好成績。電話の向こうの声も自然と弾む。
-ちょっと驚きの結果じゃないですか(苦笑)。
「ほんとになぁ。僕も12試合で7勝5敗で御の字、できたら8勝4敗と言うたものの、さすがに4月末の状況からして厳しかろうと思っとった。ところがこの成績や。最後の試合(8日・ヤクルト9回戦)の引き分けはもったいないけど大満足?言うことなしや」
-その要因は何だと思われます?
「そら、投手陣がゲームを作った、ということに尽きるんやないか。チーム防御率が広島、巨人に次ぐリーグ3位の3・48(9日現在)は開幕当初を思えば上出来の部類。先発がこらえきれなかったゲームも中継ぎ陣が余計な失点を防いで逆転につなげたこともあった。内野陣の失策なんかもあった中、本当によくやったと思うよ」
-個人的に、12連戦を占う意味で最も大事だと思っていたのが、初戦4月27日の中日4回戦でした。かつて鬼門と言われたナゴヤドーム。最初の対戦(甲子園)でも負け越していたし、嫌な感じでしたが、そこで勝ち越して願ってもないスタートが切れた。
「連戦の初っぱなが安定感抜群の西。しかも、相手の笠原が病気で急きょ佐藤優に変更になり、その初回に3点を先制した。普通はスイスイといけるところなのに、ビシエドに逆転弾を食らって負けてしもた。そこからの連勝やったらから、勢いがついたよね。特に、3戦目で完封勝利を挙げた青柳は最大級の評価をすべきやろう」
-その青柳の4月29日(中日6回戦)ですが、よく矢野監督も最後まで投げさせましたね。去年までなら絶対継投でしょう?
「青柳は六回までヒット3本の無失点に抑え、球数的にもまだ余裕があった。確かに、去年までなら絶対に継投だったやろうし、今年の矢野監督も次のジョンソンがいいだけにそうするだろうと思って見ていた。ところが、続投させた上に、最後まで踏ん張らせた。完投能力のある投手にはベンチは完投を求めてほしいし、投手の方もそれを目指して日々の鍛錬をしてほしい-というのが僕の持論。その意味において、青柳続投を選択した矢野監督の采配には賛辞を送りたいし、それに応えた青柳も立派だった」
今季の完投勝利は4月7日(広島3回戦)の西、18日(ヤクルト6回戦)の岩田に次いで3人目。この後、5月4日(DeNA9回戦)でメッセンジャーが完投勝利を挙げることになるが、青柳はプロ初完投を完封で飾った。球数は129球。青柳には一つの大きな壁を乗り越えた価値ある1勝だったが、失敗すれば地獄に突き落とされた矢野監督にとっても実り多き試合となった。「先発ローテーション投手は完投してなんぼ」を口を酸っぱくして言い続けてきた小山氏だけに、青柳とメッセを最後まで投げさせた矢野采配に「なかなかやるな、って感じやね」と賞賛を惜しまない。
-青柳は6日のヤクルト7回戦(神宮)で4回4失点で降板。完封勝利後なんで注目していたんですが、これは少し残念でした。
「なぁ。初回に自分の失策から先取点を奪われ、売り出し中の村上に一発やろ。中6日での登板が続いてるんやけど、その間、どんな調整法をしてるんか…。ワシが思うに、彼はまだ26歳と若いんやし、間隔を詰めてどんどん投げさすべしと思うんやけどね。気力、体力が充実してる時はどんどん行かしたらいいんよ」
全体的には「言うことない」とエビス顔のレジェンドだったが、気になることがもう一つあった。それが5日のDeNA9回戦(甲子園)で劇的なサヨナラ弾を放ちながら、翌6日のヤクルト戦でスタメンを外れた5番・福留に対する起用法。テレビ中継のゲストとして現地で観戦、スタメン落ちを見て「なんでや…」と声に出し、放送でも指摘したという。
-昨年の金本前監督もそうでしたが、今年で42歳になった福留は適度な休養を取らせながら使ってます。甲子園から移動日なしでの神宮。さすがにベテランにはきつい、と判断したんでしょうね。
「そらわからんでもない。そやけど、や。クリーンアップと言えば主役中の主役やで。7、8月の夏場ならともかく、まだ34試合の時点で疲労やどうのと言うててどうするんや。クリーンアップを任せる3人には全試合出場とまで言わんまでも、130試合程度は出てほしい。結果的に2点ビハインドの最終回に代打(三振)で出すんなら、最初から出してほしかったな」
-チーム随一の勝負強さを持つ福留をどう使っていくか。これが今後のカギになる気がします。
「その通りやろうな。衰えが見え始めたとはいえ、ここ一番の福留は頼りになる存在。3番の糸井が本調子にほど遠く、4番の大山も完全に殻を破ったとは言い難い。そんな中でのポイントゲッターだけに、外した時の差が大きい。こないだは梅野を5番に置いたけど、彼は投手陣のリードに手一杯やと思うからもっと下でのんびり打たせてやりたい。福留を休ませた時、誰を5番に置くか。これ、大事やと思うで」
お互い欲を言いだしたらキリがない。12連戦最後の試合を継投ミスでドローにしたのはどうないや、とか…。ともかく、勝率は当面の目標だった5割を超えて貯金生活になっただけで良し。10日(金)からは甲子園での中日3連戦。個人的には、4月12日の1回戦でビシエドに2被弾したメッセンジャーがどんな投球をして雪辱するか-に興味津々。「11日(土)に甲子園へ行くんでよく見てくるわ」という小山氏には、また週明けに詳しくリポートしてもらおう。(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190509-00000071-dal-base
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いつもは辛口評で鳴る小山正明氏も、時代をまたいだ矢野阪神の快進撃には最大級の賛辞を惜しまない。前回話を聞いた4月26日の時点で、矢野阪神は借金3の4位。DeNAに横浜で3連勝していたとはいえ、主力のメッセンジャーが右上腕打撲で出場選手登録を抹消、今季期待の新助っ人のはずだったガルシアも不振で2軍調整を強いられていた。そんな状況下で試練の12連戦に入ったのだから、虎のレジェンドOBも心の底では不安視していた。ところが蓋を開けてみたら…の好成績。電話の向こうの声も自然と弾む。
-ちょっと驚きの結果じゃないですか(苦笑)。
「ほんとになぁ。僕も12試合で7勝5敗で御の字、できたら8勝4敗と言うたものの、さすがに4月末の状況からして厳しかろうと思っとった。ところがこの成績や。最後の試合(8日・ヤクルト9回戦)の引き分けはもったいないけど大満足?言うことなしや」
-その要因は何だと思われます?
「そら、投手陣がゲームを作った、ということに尽きるんやないか。チーム防御率が広島、巨人に次ぐリーグ3位の3・48(9日現在)は開幕当初を思えば上出来の部類。先発がこらえきれなかったゲームも中継ぎ陣が余計な失点を防いで逆転につなげたこともあった。内野陣の失策なんかもあった中、本当によくやったと思うよ」
-個人的に、12連戦を占う意味で最も大事だと思っていたのが、初戦4月27日の中日4回戦でした。かつて鬼門と言われたナゴヤドーム。最初の対戦(甲子園)でも負け越していたし、嫌な感じでしたが、そこで勝ち越して願ってもないスタートが切れた。
「連戦の初っぱなが安定感抜群の西。しかも、相手の笠原が病気で急きょ佐藤優に変更になり、その初回に3点を先制した。普通はスイスイといけるところなのに、ビシエドに逆転弾を食らって負けてしもた。そこからの連勝やったらから、勢いがついたよね。特に、3戦目で完封勝利を挙げた青柳は最大級の評価をすべきやろう」
-その青柳の4月29日(中日6回戦)ですが、よく矢野監督も最後まで投げさせましたね。去年までなら絶対継投でしょう?
「青柳は六回までヒット3本の無失点に抑え、球数的にもまだ余裕があった。確かに、去年までなら絶対に継投だったやろうし、今年の矢野監督も次のジョンソンがいいだけにそうするだろうと思って見ていた。ところが、続投させた上に、最後まで踏ん張らせた。完投能力のある投手にはベンチは完投を求めてほしいし、投手の方もそれを目指して日々の鍛錬をしてほしい-というのが僕の持論。その意味において、青柳続投を選択した矢野監督の采配には賛辞を送りたいし、それに応えた青柳も立派だった」
今季の完投勝利は4月7日(広島3回戦)の西、18日(ヤクルト6回戦)の岩田に次いで3人目。この後、5月4日(DeNA9回戦)でメッセンジャーが完投勝利を挙げることになるが、青柳はプロ初完投を完封で飾った。球数は129球。青柳には一つの大きな壁を乗り越えた価値ある1勝だったが、失敗すれば地獄に突き落とされた矢野監督にとっても実り多き試合となった。「先発ローテーション投手は完投してなんぼ」を口を酸っぱくして言い続けてきた小山氏だけに、青柳とメッセを最後まで投げさせた矢野采配に「なかなかやるな、って感じやね」と賞賛を惜しまない。
-青柳は6日のヤクルト7回戦(神宮)で4回4失点で降板。完封勝利後なんで注目していたんですが、これは少し残念でした。
「なぁ。初回に自分の失策から先取点を奪われ、売り出し中の村上に一発やろ。中6日での登板が続いてるんやけど、その間、どんな調整法をしてるんか…。ワシが思うに、彼はまだ26歳と若いんやし、間隔を詰めてどんどん投げさすべしと思うんやけどね。気力、体力が充実してる時はどんどん行かしたらいいんよ」
全体的には「言うことない」とエビス顔のレジェンドだったが、気になることがもう一つあった。それが5日のDeNA9回戦(甲子園)で劇的なサヨナラ弾を放ちながら、翌6日のヤクルト戦でスタメンを外れた5番・福留に対する起用法。テレビ中継のゲストとして現地で観戦、スタメン落ちを見て「なんでや…」と声に出し、放送でも指摘したという。
-昨年の金本前監督もそうでしたが、今年で42歳になった福留は適度な休養を取らせながら使ってます。甲子園から移動日なしでの神宮。さすがにベテランにはきつい、と判断したんでしょうね。
「そらわからんでもない。そやけど、や。クリーンアップと言えば主役中の主役やで。7、8月の夏場ならともかく、まだ34試合の時点で疲労やどうのと言うててどうするんや。クリーンアップを任せる3人には全試合出場とまで言わんまでも、130試合程度は出てほしい。結果的に2点ビハインドの最終回に代打(三振)で出すんなら、最初から出してほしかったな」
-チーム随一の勝負強さを持つ福留をどう使っていくか。これが今後のカギになる気がします。
「その通りやろうな。衰えが見え始めたとはいえ、ここ一番の福留は頼りになる存在。3番の糸井が本調子にほど遠く、4番の大山も完全に殻を破ったとは言い難い。そんな中でのポイントゲッターだけに、外した時の差が大きい。こないだは梅野を5番に置いたけど、彼は投手陣のリードに手一杯やと思うからもっと下でのんびり打たせてやりたい。福留を休ませた時、誰を5番に置くか。これ、大事やと思うで」
お互い欲を言いだしたらキリがない。12連戦最後の試合を継投ミスでドローにしたのはどうないや、とか…。ともかく、勝率は当面の目標だった5割を超えて貯金生活になっただけで良し。10日(金)からは甲子園での中日3連戦。個人的には、4月12日の1回戦でビシエドに2被弾したメッセンジャーがどんな投球をして雪辱するか-に興味津々。「11日(土)に甲子園へ行くんでよく見てくるわ」という小山氏には、また週明けに詳しくリポートしてもらおう。(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)
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阪神に明るい光が見えた12連戦 今後のカギは5番・福留の起用法(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190509-00000071-dal-base … @YahooNewsTopics
ドメよりヨシオが気になるし、マルテはどうなん?と言う話。
高山と中谷をもっと積極的に使ってほしいね。