<巨人2-4阪神>◇25日◇東京ドーム
意地のG倒2連発だ。阪神秋山拓巳投手(29)が今季2度目の完投で9勝目を挙げ、3年ぶりの2桁勝利に王手をかけた。負けか引き分けで優勝の可能性が消滅した崖っぷちだったが、前日の高橋に続く快投で、ライバルの前での屈辱を阻止した。チームは20年最後の東京ドームで初の勝ち越し。今季限りで現役を引退する藤川球児投手(40)も長年戦った敵地に別れを告げた。
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直球は140キロ前後。だが、巨人打線はとらえきれない。「スピードは出ないんですけど、ストレートピッチャーだと思っています」。負けか引き分けで優勝の可能性が完全に消滅した一戦で112球の熱投。秋山が東京ドームでで仁王立ちした。
主砲には気合が入る。本塁打王争いで大山と並ぶトップの岡本には真っ向勝負を仕掛けた。4打席対峙(たいじ)し、21球中15球で直球を投じた。「ジャイアンツの打者がイメージしている軌道じゃない球が投げられたら、有効じゃないかと感じていた」。2三振を奪うなど無安打に封じ、仕事をさせなかった。
9回は丸に2ランを浴び「(完封を)取りたかったですけど。そういう人間かなと思っているんで」と苦笑い。それでも矢野監督は「勝負にいった結果やからさ。秋山らしく丁寧に。ベース上での(球の)強さというか、そういうものもしっかりあった素晴らしいピッチングでした」とたたえた。6安打2失点で今季2度目の完投。G倒は18年5月8日(東京ドーム)の完封以来、約2年半ぶりで、チームに今季初の東京ドーム勝ち越しをもたらせた。
9勝目を挙げ、17年の12勝以来3年ぶりの2桁勝利に王手をかけた。今季は残り1試合か2試合に登板する見込み。18年は5勝、19年は4勝と苦しんできた。「ここまで来た。みんなの期待に応えられるように、あと1勝頑張りたいと思います」。背番号46は力強く宣言した。【只松憲】
▼阪神秋山が完投で9勝目を挙げた。17年以来2度目の2桁勝利に王手をかけた。秋山の完投勝利は7月28日のヤクルト戦に次いで今季2度目で、通算7度目。巨人戦では18年5月8日に完封して以来。巨人戦は通算4勝8敗と負け越しているが、防御率は2・90と悪くない。