【球界ここだけの話】
新天地で戦いに挑む男の顔はりりしく、やる気に満ちていた。昨年10月に交換トレードで日本ハムから阪神に移籍した高浜祐仁内野手(26)は沖縄・具志川での2軍春季キャンプで牙を研ぎ、虎視眈々とチャンスの時を待っている。
「外野に(レギュラー争いに割って入る)チャンスがあると思うので、狙っていきたい」
横浜高では2年夏と3年春にいずれも4番として甲子園出場。2015年にドラフト7位で日本ハムに入団し、キャリアをスタートさせたが、決して順風満帆ではなかった。プロ入りから5年間で1軍出場は4試合にとどまり、19年オフには育成契約を結んだ。翌年に支配下に復帰すると、21年には自己最多の107試合に出場し、8本塁打をマークした。そして9年目を迎える今年はタテジマの一員として再スタートを切った。
「日本ハムは自主性を大事にする方針なので、それに比べたら阪神は少し違いを感じる。でも、年の近い人たちも多いですし、普通に(楽しく)やれています」
これまでは内野の全ポジションを守れることを武器の一つとしていたが、内野の層が厚い虎のチーム状況も考慮して昨年の秋季練習から外野の守備練習を本格的に開始した。現在行われている春季キャンプでも外野の練習に励んでおり、「まだまだ課題はいっぱいあるけど、ちょっとずつは慣れが出てきたかな」とうなずく。新ポジションで自信をのぞかせている背景には、1月に沖縄県内で行った楽天・西川との合同自主トレがあった。
日本ハム時代の先輩(西川)、後輩という間柄で、昨年から2年連続で参加。4年連続ゴールデングラブ賞と4度の盗塁王の実績を持つ西川から守備や打撃で多くの助言をもらったという。「外野の守備では一歩目の大事さとかを教えていただいた。あとはバッティングも見てもらって。僕の課題としている体の使い方も教えてくださった」。特に打撃面では打つときの重心を軸足となる右足側に残してしまう癖を指摘され、その改善策も提案してもらった。
「(球を)前さばき(ポイントを前にするイメージ)で打ったらどうだ?」
15、20年に打率3割以上(規定打席到達)を記録した一線級の打者の金言を胸に刻み、今キャンプでも前でさばく意識で打つことを実践中だ。スイングに鋭さと確実性が増せば、持ち味の長打力も生きるはず。キャンプ中の1軍昇格とシーズンでの活躍を目指し、高浜は具志川で鍛錬を積む。(織原祥平)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0fbbf0714b9f9c3d4c8de3447c95e3298c6829c