◇セ・リーグ 阪神3―2ヤクルト(2019年9月18日 甲子園)
阪神・島本が、自身初となるシーズン60試合登板に到達した。先発の青柳が逆転を許し、なお2死満塁のピンチを背負ったところで登板。対峙したのは、この日はベンチスタートだった代打・山田だった。状況、対戦相手ともタフな場面でも「満塁だったので開き直ったというか」と、一切の重圧を解放。3球で追い込むと、最後は外角低めに沈む135キロのフォークで空振り三振に斬った。「(決め球は)絶対に空振りを取ってやろうと思っていた」。開幕から1軍で戦ってきた証と言える節目の数字に「目標にしてたので。やっと投げられたというか。60試合っていうのは分かっていたので、とにかく絶対に抑えてやろうと思っていた」と言葉に力を込めた。
昨秋、矢野監督が就任時に名指しで期待の選手に挙げたことを記事で知り「今年こそやらないと、もう終わりだ」と決意を新たにした。昨年12月からはプロテインを積極的に摂取して体重アップに着手。ボールに力が伝わり、春の時点で直球の最速は150キロを計測した。指揮官には開幕1軍メンバー入り後に「70試合投げます」と壮大な目標を口に。そんな数字にも迫りそうなフル回転で期待に応えた。球団の育成ドラフト出身選手で支配下登録されたのは島本だけで、左腕の歩みがすべて球団史に刻まれる。60試合で防御率は1・77の安定感。「期待枠」からスタートした背番号69は今や、絶対にチームに欠かせぬ存在にまで登り詰めた。(遠藤 礼)