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 プロ野球人の社会貢献活動を表彰する「ゴールデンスピリット賞」の表彰式が20日、東京都内で開かれ、阪神の矢野燿大監督(53)が受賞した。現役時代の10年に筋ジストロフィー患者や児童養護施設の子どもたちへの応援基金「39(サンキュー)矢野基金」を設立。その後も継続的に活動を続けてきた。また今春にNPO法人「THANKYOU FUND」を立ち上げ、代表に就任予定であることも判明。監督業と並行して社会貢献活動にも一層注力する。

 晴れやかな舞台で矢野監督が新たな構想を明かした。これまで大阪府社会福祉協議会の協力で運営してきた「39矢野基金」を発展させる形でのNPO法人「THANKYOU FUND」の設立。代表に就任するにあたっての思いを語った。

 「関西だけじゃなく困っている方もいるし、基金をどうしたらいいか分からない人にも、分かるようなものをつくっていく形になると思う。賞をいただいて、また新たな年に偶然つながっていったんで、そういう形で新しい『THANKYOU FUND』として立ち上げていけたらと思っているところです」

 自身は04年に筋ジストロフィーで闘病中の倉野憲彰さんとの出会いをきっかけに、10年から本格的な社会貢献活動を開始。電動車いす支援や球場招待なども実施し、「39矢野基金」の現在までの寄付金の総額は約4500万円にのぼる。表彰式では倉野さんから「矢野さんとの出会いは奇跡でしかありません」との祝辞が届き「泣きそうでやばかった」と目頭を熱くした。NPO法人設立の大きな狙いは、自身のような活動をしたくてもやり方がわからない“後輩”たちの道しるべとなることだ。

 「阪神の選手でも、例えば額が多くないと自分がやったらダメなのか、自分がやっても…と遠慮している選手もいる。今の自分でやれることがあると思うし、一緒に頑張るきっかけにファンドがなればうれしい。たくさんのメンバーが教えたり、サポートしてくれるので、俺なんか全然分からんけど、最初に集まる場所とか、きっかけになればいい」

 もちろん、本業で結果を出すことが、ファンや応援してくれる人たちを何より勇気づけられることは分かっている。式の最後には改めて今季への強い決意を口にした。

 「このゴールデンスピリット賞をいただいたうれしい気持ちを、シーズンに向けて戦っていけるものにしていただきました。寅(とら)年、22年、阪神タイガースが優勝して笑顔の輪をどんどん広げていけるように、先頭に立って戦っていきます」

 監督として、法人代表として。誰かを喜ばせるために全力を尽くす。(山添 晴治)

 《球団、選手一体で取り組み》表彰式では阪神・百北幸司球団社長が公の場で初めて矢野監督と同席した。甲子園球場でも「矢野39基金」の自動販売機を設置するなどのバックアップしてきた経緯を紹介し、球団と選手が一体になって社会貢献に取り組んでいることを強調。「これも、子どもたちのお手本に、と矢野監督が常々選手たちに伝えている影響がある」と指揮官の姿勢を高く評価した。

 ▽「39(サンキュー)矢野基金」 矢野監督が現役最終年の2010年、筋ジストロフィーを患うファンとの交流を機に当時の背番号にちなんで設立。現在に至るまで電動車いす普及や児童養護施設を支援する活動を継続している。

 【阪神選手の社会貢献活動】

 ★北條史也 阪神入団の13年からオフに母子医療センターや障がい児入所施設などを訪問。

 ★岩貞祐太 16年発生の熊本地震で被災した故郷の復興支援として成績に応じた義援金や軟球を寄贈。

 ★原口文仁 大腸がんの経験から、がん啓発グッズとしてブレスレットを販売し、収益をがん患者支援団体に寄付。

 ★西勇輝 オリックス時代の11年から日本赤十字社や日本財団子どもサポートプロジェクトへの寄付を継続。

 ★岩崎優 登板試合数に応じた金額の玩具を、西宮市および出身地である静岡市清水区の施設などに寄贈。

 ★青柳晃洋 勝利数に応じた金額の絵本などを、出身地である横浜市鶴見区の小学校や保育園に寄贈。

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